約 5,976,453 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2548.html
その巨人は振り向き、なのはに目をやった。 「……っ」 なのはは言葉に詰まったが、すぐに次の言葉を発する。 「事情なら私たちが聞くから……」 『…………』 「……私たちに…話してくれない………?」 『…………』 しかし巨人は黙り込んでしまった。 なのはの言葉を聞いているのかすら疑問に思えるように。 さらに言葉を続けようとするが、 「……聞いているのか!」 クロノの声が先に響く。 「彼女は君に話しかけているのに、君は彼女の言葉を聞いているのか!」 「ク…クロノ君………」 エイミィが宥めるがクロノは続ける。 「いい加減君も……」 さらに続けようとする。 しかしクロノの発言は機械音で遮られた。 「……!?」 その巨人は突如、立て膝を立てるように座り込み、腹部に手を添えた。 そして腹部が開き、中から白い服を着た人間が出て来た。 顔にはフルフェイスのヘルメットをかぶっており、そのまま巨人の手に乗り、手は意志を持ってるかのように地面に近づけ、人間を降ろした。 「……………」 クロノは未だに警戒してるようにデバイスのデュランダルを構えた。 しかしその行為を無視するかのように彼は話しかけて来た。 「…すまない……ネオ・ジオンの艦に捕まったと勘違いしてしまった………」 彼はヘルメットを外しながらも謝罪をしていた。 栗色のくせっ毛の男。 顔立ちはイケメンとは言えないが体つきはいいようだ。 「俺は地球連邦軍所属、ロンド・ベル隊のパイロット、アムロ・レイ大尉だ。」 その男はヘルメットを脇に抱えて敬礼すると淡々と自己紹介をした。 「は…はぁ………」 第01話 その名は、アムロ 数分後……… 「艦長のリンディ・ハラウオン提督です。」 「ロンド・ベル隊のアムロ・レイ大尉です。よろしく。」 二人は握手を交わすと互いの席につく。 目の前には先程の青年が立っている。 「執務官のクロノ・ハラウオンです!」 アムロは目の前にいる青年を見た。 まだ20にも満たない少年のようだ。 「……若いな………」 ついつい言葉が漏れる。 「なっ…何だと!」 「まあまあクロノ落ち着きなさい。」 「ですが提督……」 「若いと呼ばれれば普通喜ぶものですよ。」 「ははは………」 苦笑するしかない自分。 ついつい言葉が出る癖は直したくても直せない……… 「はぁ………」 ため息が零れる。 「……所でアムロ大尉……でしたね?体の方は?」 突然リンディ提督は話題を変えた。 先程、ボディチェックと一緒に精密検査をしたんだった。 「あ、はい。怪我の方も異常は………」 「こちらの検査でも人間という結果でしたし。こちらも一安心です。」 しかし、アムロには不可解な点がいくつもある。 宇宙空間以外の空間。 このような少年のいる部隊。 なにより今のリンディ提督の『人間という結果』という発言。 まるで人間以外がいるとでも言うかのようだ。 そこで、 「……リンディ提督………」 「何かしら?」 「ここは………どこなんですか?」 頂いたお茶をすすりながら理解を深める。 「時空管理局……魔導師………俄かには信じがたい話ですね。」 「でも事実なのよ。」 リンディ提督は自分のコップに角砂糖とミルクを注ぎながら答える。 「別に話を信じないわけではありませんよ。あんな空間を見てしまったんですから。」 「確かにそうかもしれないわね……」 そういってお茶を啜る。 「……美味しいんですか?」 「ん?」 ついつい出てしまった言葉。 「ああ、これ?飲んでみる?」 内心興味本意で聞いてしまった。 別にまずいものでも、と視線を目の前にやると、犠牲者を増やすまいと無言で必死に訴えてくるクロノの姿。 さらには自分の直感までもが警告をだす。 「ま…また今度いただきます………」 「あらそう?」 後にクロノから教えられた事だが、別名『リンディ茶』と呼ばれ、殺人級の甘ったるさとか……… 「……つまり俺は、次元遭難者、という訳か………」 「そういうことになるわね。」 あれからさらに話を進め、自分がどのような状況かがわかった。 「…だけど時空管理局は、あなたのもといた世界に送り返すために全力を尽くします。」 「ありがとうございます。可能なかぎり協力を惜しまないつもりです。」 そう、もとの世界に帰ってシャアを今度こそ……… そう内心決意を決めた。 「そう、ありがとう。……じゃ早速だけど貴方の世界について………教えてもらえるかしら?」 「……世界…ですか………?」 「断片的で構わないが、惑星の名前、世界の地域の名称、あと年号を言ってくれれば僕らが探そう。」 クロノも段々と協力的になってきたようだ。 「わかった。」 そういって思い出しながら言葉にする。 「…星の名前は『地球』……大陸はユーラシア、アフリカ、アジア、北と南アメリカだ………」 「「!?」」 大体の事を語った。 しかし彼等は『地球』という単語に反応していたため、彼等は知っていると確信した。 しかし、 「年号はU.C.93年、宇宙世紀0093だ。」 すぐにでも帰れる。 そう思えたのだが、それとは裏腹に意外な答えが帰ってきた。 「宇宙世紀……一体どこの世界だ?」 「……何?」 以外だ。 地球を知っていて宇宙世紀を知らないなんて……… 「……確かに地球は知っているわ………」 「じゃあ貴方達も知ってるでしょ!?数日前ラサに5thルナが落ちたことも!?」 「…ラサ…というと……チベットの?」 「そこの地球連邦軍本部が消滅したことぐらいは地球を知っているならわかるはずだ!」 「…………」 そこまでいったが、リンディ提督は思考にふけり、クロノにいたっては疑問に思って頭を傾げるだけである。 さらにクロノは、「…おかしいな……」とつぶやく始末。 「……一体何がおかしいんだ?こっちは5thルナ落下だけでも十分おかしいのに………」 「いや……僕が地球にいたときはそんな事は全くなかったんだが………」 …………… 何?地球にいた? 突然の発言に思考が止まる。 「……その前に、5thルナとはなんだ?地球連邦軍なんて聞いたことも………」 「……やっぱり………ね」 その会話にリンディ提督は結論を出した。 「……アムロ大尉がいた地球と私たちがいた地球は、別の次元の地球のようね………」 「……別の次元?」 そう聞き返すとリンディ提督はこう答えた。 「……パラレルワールドよ………」 パラレルワールドとは、 現実世界と似て非なる世界。 平行世界の事である。 「実際話だけは聞いたことはあるが……まさか………」 アムロは驚きの表情で答えた。 確かに合点がいくし、魔法なるものが存在しているのだからあってもおかしくはないだろう。 「原因は私たちの発射した魔導砲アルカンシェルと、貴方側の世界で起きた何か………」 「……おそらくサイコフレームの共振による爆発的なエネルギーだ………」 アクシズの片割れをも地球の引力から押し出したほどの力だ、相当なエネルギーだろう。 「じゃあそれが原因で………」 クロノは驚き悩む。 実はさらに偶然が重なっていた。 そのアルカンシェル発射時とサイコフレームの共振が発生した場所がほぼ同じであった。 つまりアルカンシェルが着弾、闇の書の闇が消滅した場所がアムロのいた場所だったのだ。 「……だけどパラレルワールドなら時空管理局の力で………」 クロノは返すことは出来るんではとリンディ提督にいうが、 「……………」 言葉を返さない。 おそらく、いや確実に、 「……不可能よ………」 予感は的中した。 「いくら管理局でもパラレルワールドは未だに未知の領域……アムロ大尉には悪いのだけど………」 だが俺は、 「既に覚悟の上ですよ。」 と答えた。 だがこの発言と同時にリンディ提督の目が光った気がした。 あれから数十分。 アムロは自分の世界の事を語った。 自分の世界の戦争 MS(モビルスーツ) ニュータイプ シャアの人類抹殺計画 そして無謀にもアクシズを押し返そうとしたこと 「……既に帰るところは無くなったから、既に思い出話ですかね?」 実際は語り終わったところである。 自嘲気味に笑うアムロに対してリンディは今だとばかりにアムロを誘った。 「だったら時空管理局に入らない?」 突然の勧誘。 だが既に答えを返していた。 「無理ですよ。第一俺の機体は貴方達管理局の言うところの質量兵器ですよ?」 「いいのいいの!あれは次元振の時の流れ物だってごまかせば!それに貴方には……」 そんな無茶苦茶な話を遮り、さらにいう。 「第二に、ニュータイプとはいっても魔導師ではありませんから戦うことは………」 だがこんどは彼が遮られた。 「実はさっきの精密検査でわかったことなんですけどね………」 「………?」 その言葉は以外だった。 「貴方の体にもリンカー・コアがあったの。しかも推定オーバーSランクの………」 「………はぃ!?」 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/2720.html
水樹奈々 水樹奈々 楽曲 コメント 日本の女性声優、歌手。愛媛県新居浜市出身。シグマ・セブンとキングレコードに所属。公式ファンクラブは「S.C. NANA NET」。 水樹奈々 クレセリア♀:こちらより。 ビークインorアマージョ♀:ドレスっぽいイメージ。 ポワルンorサメハダー ポケモンAGの人物の声を担当。 ビクティニ 映画で声を担当。 スボミーorマダツボミ ハートキャッチプリキュア!の主人公の声を担当。 色違いのクロバット ロザリオとバンパイアのメインヒロインの声を担当。 キレイハナ:NARUTOのメインヒロインの声を担当。 サンダース:魔法少女リリカルなのはのメインヒロインの声を担当。 ムウマージor色違いのチルタリス:しゅごキャラ!のメインヒロインの声を担当。 ハッサム:鋼の錬金術師のメインヒロインの声を担当。 ママンボウ:トリコのメインヒロインの声を担当。 色違いセレビィ:時空探偵ゲンシクンのメインヒロインの声を担当。 ラティアス:BLOOD-Cの主人公の声を担当。 クレセリア:革命機ヴァルヴレイヴのメインヒロインの声を担当。 トゲキッスorチェリム:テイルズオブシンフォニアのメインヒロインの声を担当。 アシレーヌ:レイトン教授の人物の声を担当。 ドレディア:ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッドのメインヒロインの声を担当。 ラティアス:マギの登場人物の声を担当。 アリアドス:シスター・プリンセスのキャラクターの声を担当。 楽曲 バタフリー:迷宮バタフライ 『しゅごキャラ!』の劇中歌挿入歌。 マダツボミorスボミー:ゆめのつぼみ 『しゅごキャラ!』の劇中歌挿入歌。 ソルロック:太陽が似合うよ 『しゅごキャラ!!どきっ』の劇中歌挿入歌。 ジラーチ:星のささやく物語『超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!』の劇中歌挿入歌。 ユキメノコ:純潔パラドックス 着物イメージ。『BLOOD-C』のエンディングテーマ。 トゲキッス:ETERNAL BlAZE 「光の女神(てんし)」から。『魔法少女リリカルなのはA`s』のオープニングテーマ。 ホウオウorファイヤー:BRAVE PHOENIX 『魔法少女リリカルなのはA`s』の挿入歌。 エルレイド:Pray 『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の挿入歌。 ラティアス:UNCHAIN∞WORLD 「むげん」繋がり。 『スーパーロボット大戦OGサーガ 無限のフロンティアEXCEED』の主題歌。 色違いのチルット:天空のカナリア 『テイルズオブシンフォニア テセアラ編』のオープニングテーマ。 ルカリオ:DISCOTHEQUE 「ロザリオとバンパイアCAPU2」オープニングテーマ カイオーガ:時空サファイア ハピナス:The place of happiness 『ジェネレーションオブカオス』主題歌 グレイシア:水色の青空 ブラッキーorルナトーンorクレセリア LOOKING ON THE MOON ラブカス:LOVE HISTORY『GENERATION OF CHAOS NEXT』主題歌 メブキジカ(なつのすがた):Summer Sweet ルージュラ:おんなになあれ ジラーチ:Brilliant Star 『少年進化論plusスペシャル番外編中年進化論plus』イメージソング ミツハニー:HONEY FLOWER レジスチル:禁断のレジスタンス ムシャーナorアーケオス:夢幻 後者は「WHITE ALBUM」2代目オープニングテーマ エルレイド:愛の星『宇宙戦艦ヤマト2199 OVA 』7代目エンディングテーマ フシギダネ:ONE カメックス:BLUE キテルグマ:「好き!」 マッシブーン:MASSIVE WONDERS キマワリ:ひまわり デリバード:Promise on Christmas キマワリ:えがおは君のためにある コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 コラボレート 楽曲 ロズレイド:Preserved Roses(T.M.Revolution×水樹奈々) テレビアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』オープニングテーマ ガオガエン:革命デュアリズム(水樹奈々×T.M.Revolution) テレビアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』2ndシーズン オープニングテーマ -- (麻宮穹) 2022-10-10 14 59 44 楽曲 カメックス:アオイイロ -- (サスケ) 2021-05-08 16 28 08 水樹奈々 ライチュウ:いちご100%のメインヒロインの声を担当。 -- (サスケ) 2021-04-03 08 43 58 草案 楽曲 キマワリ:えがおは君のためにある ズガドーン:夢想花火 -- (ユリス) 2021-04-02 22 16 53 追記修正 役 トゲキッス:コレット・ブルーネル(テイルズオブシンフォニア) チェリム:花咲つぼみ/キュアブロッサム(ハートキャッチプリキュア!) クレセリア:クリムヒルト(革命機ヴァルヴレイヴ) エンペルト:アンジュ(クロスアンジュ 天使と竜の輪舞) 色違いのクロバット:赤夜萌香(ロザリオとバンパイア) キレイハナ:日向ヒナタ(NARUTO) -- (麻宮穹) 2021-03-16 22 22 27 草案 役 トゲキッス:テイルズオブシンフォニアのメインヒロイン チェリム:ハートキャッチプリキュア!の主人公 クレセリア:革命機ヴァルヴレイヴの敵側の女指揮官 エンペルト:クロスアンジュ 天使と竜の輪舞の主人公 -- (麻宮穹) 2021-03-16 21 56 52 楽曲 キテルグマ:「好き!」 -- (サスケ) 2021-02-02 19 33 49 楽曲 デリバード:Promise on Christmas -- (サスケ) 2021-01-11 13 24 10 楽曲 ネイティオ:僕らの未来 -- (サスケ) 2020-12-21 06 49 37 楽曲 キマワリ:ひまわり -- (サスケ) 2020-12-05 11 49 48
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/17.html
出会いが絆が紡ぐ新たな物語―― ”リリカルなのは“シリーズ新章LIFT OFF! 人と魔導との出会いは果たして幸福であったか否か かつて世界に争いを起こしたのが巨大な魔導の力ならば 争いを止めたのも また同じ魔導の力だった 世界はいま片時の平和の中のにあり 答えは今だ出ていない シスター「はい…ミッドチルダ宛ての電信絵葉書の送信ね」 トーマ「うぃっス」 シスター「旅行中?」 トーマ「はい」 シスター「いいわね、今日はどこまで?」 トーマ「この先の鉱山遺跡で宝探しと」 Record01 「Engage(エンゲージ)」 トーマ【前略、スゥちゃんお元気ですか?俺は一昨日からルヴェラの文化保護区に入りました。 ワガママ言って許して貰ったひとり旅も残りあと3か月。 保護区内は次元間通信が不安定なのであんまり連絡できませんが】 トーマ「なースティード、到着は夜になるかな」 スティード「そうですねトーマ、食糧の準備は充分で?」 トーマ「もちろん」 トーマ【俺は元気でやってます(スティードに教わって勉強もちゃんとやってます) 約束通り旅行の間に世界を見て回って自分の答えを見つけます】 トーマ「おー!やっと見えた!」 スティード「お目当てのルヴェラ鉱山遺跡ですね」 トーマ「うん」 スティード「ですがもう夜です。野営できる場所を探しましょう」 トーマ「だな」「先客かな、今明かりが見えたような」 スティード「こんな辺鄙な場所に?」 女研究者「機材とデータの搬出は終了です。後はマテリアルですが」 男研究者「廃棄処分だ、ここに捨てていく」 女研究者「献体はともかくシュトロゼックもですか?」 男研究者「できそこない一基にいつまでも関わっておれんよ。向こうで銀十字(こいつ)の保有者を書き換えれば済む」 スティード「引っ越しにしては物騒ですね」 トーマ「関わり合って得はねーな。このままこっそり…」 リリィ『痛イよ。苦シいヨ』 トーマ「あ、つっ!!」 スティード「トーマ!?」 トーマ「いて、いてて…っ。この声念話…!?」 スティード「!?私には何も」 トーマ「あの奥…助けてって言ってる!」 スティード「トーマ、あなたまさか」 トーマ「助けてって言ってる」 スティード「――ですよね。ただ、あなたがケガをすると私も彼女に怒られますので」 トーマ「オーライ相棒(バディ)うまくやるさ」 トーマ「うお…ッ!ここ研究施設…?」 スティード「それもだいぶヤバイ方向の」 リリィ『痛い、よ』 トーマ「痛いのすぐに止めてあげるから」「――解け」「!?あッ!づ…っっ!」 男研究者「侵入者!?」 女研究者「何者かがシュトロゼック-4thに接触!それにこれはリアクトの反応!?」 リリィ『だめ、痛いよ、怖いよ、寂しいよ、来ちゃだめ』 トーマ「大丈夫…泣かないで。俺がいますぐ助けるから」「!!」 「てて…っ、大丈夫ッ!? !!!全裸!?き…!着るもの!スティードなんか服っ!!」 スティード「それらしきものならここに」 男研究者「失態だ。安置室を熱焼却処分!シュトロゼックと侵入者ごとだ!!」 機械音声「警告、警告。感染災害の危険発生。これより熱焼却処理を行ないます。 トーマ「しょ、焼却ッ!?」 スティード「困りましたね、暑いのは苦手です」 機械音声「近隣ブロックの職員は至急避難を」 トーマ「手伝えスティード!」 スティード「オーライトーマ」 機械音声「カウント6」 スティード「Protection」 トーマ「あの、いきなり飛びこんできてこんなことになっちゃって本当にゴメン」 機械音声「5」 トーマ「でも大丈夫。きっと助けるから」 機械音声「4」「3」「2」「1」 リリィ『誓約(エンゲージ)』 機械音声「0」 男研究者「やったか!?」 機械音声「プラズマアーク正常作動!」 男研究者「いかなる防御をしようと人間が生存することなど――生きている。 あれが完成したのなら!金属が沸騰する温度の中でも活動しうるッ!!そういうものを! 我々は!造り出そうとしていた!!」 ディバイダー966「E-C DividerCode-966」「StartUp」 トーマ「――ディバイド、ゼロ」ドゴッ ズドン スティード「トーマ、トーマ!」 トーマ「んあ、え、あれッ!?」 スティード「大丈夫ですかトーマ。それになんですか?そのイカした格好は?」 トーマ「うおお!なんじゃこりゃあ―!!」「あ」「おお!」「――あれ、なんだこの腕輪」 「ああごめん。大丈夫?」「俺、トーマ・アヴェニール。名前聞いても?} リリィ「リリィ、です。リリィ・シュトロゼック」 トーマ「リリィ。いいね、かわいい名前だ」「と、とりあえず安全な場所まで出よう!スティード周辺チェック!」 スティード「オーライ、トーマ」 同時刻 第12管理世界フェディキアStワレリー港 シャーリー「お疲れ様です。フェイトさん、ティアナ執務官。押収物には該当しそうな品ありませんでした」 フェイト「そう、銀十字もディバイダーもここじゃなかったか」 ティアナ「「エクリプス」の感染者を出すわけにはいきません」 フェイト「うん。もしも感染者が出たのなら、なんとしても捕獲しないと」 To be conntinued Record02 「Lily-Strosek(リリィ・シュトロゼック)」
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/464.html
Burning Dark(後編) ◆9L.gxDzakI ぎん、と。 鳴り響く剣戟の音はさすがに重い。 驚嘆に値する相手だと、改めてアンジール・ヒューレーは思考する。 バスターソードと互角に打ち合える重量を、軽々と振り回すその筋力。 荒々しくも素早い攻撃は、さながら棒切れでも振り回しているかのようだ。 自分も今の腕力を手に入れるだけに、どれだけの鍛練を重ねたことか。 おまけにこれまでに見たこともない、異常なまでの再生能力も備えている。 断言しよう。こいつは強い。 自分達ソルジャーのクラス1stと、ほぼ同等のポテンシャルを有している。 それでも、倒せない相手ではないはずだ。故に剣を振るい続ける。 いかに優れた再生能力を持とうと、完全な不死などということはありえない。 仮にそんなものが呼ばれていたとすれば、その時点で殺し合いのゲームバランスは崩壊する。 もしも奴が本当に不死であるならば、デスゲームの結果は論ずるまでもない。 どう考えても、耐久力の差でアンデルセンが優勝する。 それ以外の可能性はありえない。それはプレシアの望むところではあるまい。 つまり、アンデルセンは無敵ではない。 であれば、倒せる。 ばさ、と。 背後の片翼を羽ばたかせた。 戦闘において、飛行能力とは重要なアドバンテージとなる。 相手が飛べない相手ならば、跳躍の限界以上の高度まで飛べば、それだけで攻撃をシャットアウトできる。 そうでなくとも、相手以上に多様な角度から、攻撃を仕掛けることも可能だ。 敵の頭上を一飛び。一瞬にして、背後を取る。 舌打ちと共に振り返るアンデルセン。 さすがに速い。だが、隙は一瞬でもできれば十分。 「はぁっ!」 気合と共に、一閃。 振り向くその刹那に、一撃。 バスターソードの太刀筋が、アンデルセンの胸部に引くのは真紅のライン。 肉が断たれた。鮮血が弾け飛んだ。 この剣はソルジャーに入隊した記念に、郷の両親が譲ってくれた大切な家宝だ。 使うと擦り減る。勿体ない。 故に本当の危機に迫られた時以外は、敵に刃を立てることなく、全て峰打ちで潜り抜けてきた。 だが、今回は相手が相手だ。再生能力を有した敵は、斬りつけなければ倒せない。 「この程度か! 俺の能力(リジェネレイト)を見ていながら、この程度の傷をつけて満足する気か!?」 「ブリザガ!」 そして今回は、これだけではない。 ただ斬撃を繰り返しただけでも、そうそう勝てる相手ではない。 故に、戦い方を変える。 突き出した左手。足元に浮かぶのはISのテンプレート。 マテリアルパワー、発動。使用するのは氷結の力。 迸る冷気が弾丸をなし、アンデルセンの傷口へと殺到。 命中する。凍結する。斬り開かれ、修復のために蠢く筋肉が、停止。 自慢の再生は中断される。 「ぬおっ……」 「いかに再生能力を持っているといえど、凍らせて復元を止めれば……」 「嘗めるなよ剣闘士(ソードマスター)! この程度の拘束で、俺をどうこうできると思ったか!」 ぴしっ、と。 ガラスのごとき氷晶に入る、亀裂。 そこはイスカリオテの最強戦力、アレクサンド・アンデルセン。 込められた気合が。発揮される気迫が。 氷の枷へと網のごとく、鋭いひびを広がらせ、遂には粉々に砕かせる。 当然の帰結だ。 そもそも最初の遭遇で、アンデルセンは同じブリザガの凍結を破ってみせた。 であれば、部分的な冷凍など、はねのけられないわけがない。 だが。 「――氷を砕くために、その足を止める!」 それが狙いだ。 突撃。すれ違いざまに、また一閃。 氷の砕けたその矢先、今度は脇腹を襲う痛烈な斬撃。 当然、回避などできない。もろに食らった一撃が、深々とアンデルセンの懐を抉った。 治り始めたところを、また即座に氷結。 「俺がその隙を許すと思ったか」 再度標的へと向き直り、アンジールが告げる。 これが彼の狙いだ。 いかに氷を砕けると言えど、そのためには一瞬の間隔を置く必要がある。 これが並の人間同士の戦いならば、何ということもない刹那の隙だ。 だが、ここにいるのは常人ではない。 アンデルセンは熟練の達人であり、アンジールもまた同じく達人。 互いに圧倒的な実力を誇る、彼らの戦いであればこそ、その一瞬こそが命取り。 回復の隙など与えない。傷口を残らず凍結させながら、極限まで追いつめて始末する。 これがアンジール・ヒューレーなりの、再生能力との戦い方。 無論、だからといって楽に勝てるわけではない。 普段に比べて、ISの燃費が悪くなっている。エネルギーの消耗が平時よりも早い。 自身のスタミナが尽きるのが早いか、アンデルセンが倒れるのが早いか。これは極限の我慢比べ。 ばさ、と羽ばたく。 怒濤の三撃目を叩き込まんと。 「チィッ!」 されど、回避。 まさしく紙一重。 その身を強引によじったアンデルセンが、肉薄するバスターソードをかわす。 お返しと言わんばかりに迫る、グラーフアイゼンの反撃。 鉄槌をかわす。剣で受け止め素早くいなす。今度は袈裟掛けに斬りかかる。 これも回避。 振り下ろしたところを、鉄の伯爵の一撃。 大剣の防御。勢いを殺しきれず、滑るように後退。 (防御を捨ててきたか!) さすがにそう簡単にはいかないようだ。 この男、狂人であっても馬鹿ではない。崩し方の割れた再生能力に頼らず、回避行動に専念し始めている。 素早い変わり身だ。防御一辺倒と思っていた男が、ここにきて素早いフットワークを発揮した。 「Amen!」 そうこう考えているうちに、次なる一撃が叩き込まれる。 これまた剣で受け止め、弾き返し、ステップで右側へと回り反撃。 ぎん、と。 弾かれたばかりのグラーフアイゼンが、素早くバスターソードを受け止めた。 やはり手ごわい。 再生能力を抜きにしても、こいつの実力は相当に高い。 少しでも気を抜こうものなら、逆に向こうがその隙を突いてくる。 鉄槌の重圧を振り払い、後退。一旦両者の間に距離を取った。 間違いない。 これまでの戦いと現在の戦いが、アンジールに確信を抱かせる。 このアンデルセンという男、死力を尽くしてぶつからなければ、到底倒せる相手ではない。 そしてこの勝負、負けるわけにはいかないのだ。 ディエチを喪い、今度はチンクの命までもが散ろうとしている。 そんなことは許せない。今度こそ、自分のこの剣で守ってみせる。 びゅん、と。 純白の翼が疾風と化す。 眼前で待ち構えるアンデルセンへと、一直線に殺到する。 振り上がる刃。同時に構えられる相手の鉄槌。 そこからの衝突は、まさに壮絶の一言に尽きた。 「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ―――ッ!!」 「カアアアアアァァァァァァァァ―――ッ!!」 一度斬りかかれば反撃も一度。 二度打ちかかってくれば反撃も二度。 十度の攻撃は十度の反撃。 百度の猛攻は百度の反撃。 目にもとまらぬ素早さで、繰り出されるバスターソードとグラーフアイゼン。 さながら横殴りの大豪雨。否、これはもはや押し寄せる波濤。 激流と激流同士がぶつかり合い、やかましい金属音と共にせめぎ合う。 アンジールの一撃が敵を掠めれば、アンデルセンの一撃が我が身を掠める。 一歩も押せず、一歩も引かず。 両者の攻め手は完全に拮抗し、怒号と共に激突し合う。 パワー・スピード・テクニック。そのいずれかでも相手より劣れば、即座にほころびとなるだろう。 しかし、均衡は崩れなかった。 どちらもが死力を尽くし合った結果、そこに優劣は存在しなくなった。 「いいぞアンジールゥ! それでこそ倒し甲斐がある! 殺し甲斐がある! 絶滅させる甲斐があるゥゥゥッ!!」 「知ったことか! お前が俺の家族を奪おうというのなら……倒すまでだッ!!」 ただありのままに、互いの一撃一撃を。 憎むべき敵の懐目がけ、一心不乱に叩き込むのみ。 そして―― 《グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――――ッ!!!》 剣戟の轟音すらかき消す絶叫は、この時響き渡っていた。 ◆ 今のは何だ。 ただ戦闘を傍観していたチンクは、割って入った音に周囲を見回す。 それはアンジール達も同じようだ。 互いにつばぜり合いの態勢で静止したまま、意識のみで音源を探っていた。 アンデルセンと戦っていたと思えば、そこへあのアンジールという、訳の分からない男の乱入。 大剣を構えるあの男は、自分に味方してくれた。 であればこいつは一体何だ。またしても現れた第二の乱入者は、味方なのか敵なのか。 轟、と。 地鳴りのような音が響く。 いいや、地面は揺れていない。であればこれはまた別の音だ。 揺れているのは大地ではない。これは大気を揺らす音。 陽炎を起こす炎の音だ。 そしてその音源は――――――北から来る! 「いかん……チンク、逃げろッ!」 アンジールの声。同時に白き翼が羽ばたく。 一瞬遅れ、大通りに沿って現れたのは。 「なっ……!」 鬼だ。 まさしく炎の鬼の姿。 屈強な筋肉を巨体に身につけ、灼熱の業火を撒き散らす鬼神が、猛烈な加速と共に突っ込んでくる。 凄まじい熱量に歪む空気を、その突撃で吹き飛ばしながら。 溢れんばかりの真紅の炎で、その道筋を焼き尽くしながら。 理性で判断している余裕などない。 一瞬前に目撃した鬼は、今や倍のサイズに見えるほどに接近している。 かわせるか。いいや、かわすしかない。 あんなものを食らってはひとたまりもない。 かっ、と。 地面を叩き、バックステップ。 思い出したように、ハードシェルの準備を整える。 だが。 その時には既に遅かった。 一瞬の反応が遅れた結果、防壁が完全に展開するよりも早く。 「う……うわああぁぁぁぁぁーッ!!」 炎がその身に襲いかかった。 ◆ 単刀直入に言おう。 この時、チンクら3人へと襲いかかったのは、地獄の業火を操る灼熱の召喚獣――イフリートである。 その力は、数多いる召喚獣の中でも比較的低い。 クラス1stであるアンジールや、それと同等の実力を誇るアンデルセンなら、恐らく倒せていただろう。 事実として、最強のソルジャー・セフィロスは、かつてこれを一撃で撃破している。 だが、それは敵の攻撃をかいくぐり、こちらの攻撃のみを命中させた場合の話だ。 召喚獣の破壊力は絶大。 骨すら溶かす紅蓮の炎は、食らえば人間などひとたまりもない。 まして、制限によって弱体化されている今の彼らに、生き延びられる保障はない。 そしてその暴力的な力を前に、3人はいかなるアクションを取ったか。 まず、イフリートが使われている世界から来た、アンジール・ヒューレー。 雄たけびでその正体を察知した彼は、誰よりもいち早く離脱することができた。 続いて、イフリートを目撃した瞬間に、ようやく回避行動を起こしたチンク。 たとえ未知の存在であるといえど、似たような魔法生命体の存在は、一応頭に入っている。 間に合わずかの召喚獣の纏う炎を受けたものの、体当たりの直撃だけは避けられた。 真っ向から突撃を食らうことがなかっただけでも、まだましな方であったと言えるだろう。 そして、アレクサンド・アンデルセン。 いかに化物退治を生業とする彼でも、このような巨大生物は過去に見たことがなかった。 彼が屠ってきたのはヴァンパイアやグール。全て人間大の範疇に収まるもの。 故に、こんな冗談のような存在は、これまで目の当たりにしたことがない。 そのためその巨体を前に、一瞬とはいえ魅入られたアンデルセンは―― ――唯一、その直撃をまともに食らってしまった。 ◆ 凄まじい圧力を身体に感じている。 凄まじい熱量が身体を舐めている。 抗う術は既にない。真正面から体当たりを食らった瞬間、グラーフアイゼンは右手から弾け飛んだ。 くわと見開かれたアンデルセンの視線と、イフリートの視線が重なっている。 そうだ。これこそが真の化物だ。 人間の理解を容易に跳ね除ける、このような存在だからこそ、化物(フリーク)の名に相応しい。 掛け値なしの化物共に比べれば、自分など所詮健全な一般人だ。 だが同時に、自分はその化物を駆るべき人間でもある。 殺し屋。銃剣(バヨネット)。首斬判事。天使の塵(エンゼルダスト)。 語り継がれる数多の異名は、この身に培った力の証。 偉大なる神の御心の下、その威光に刃向かう百鬼夜行を、血肉の欠片も残らずぶった斬ること。 それこそが己の仕事であり、己の存在意義でもある。 それがどうした。 そのアレクサンド・アンデルセンが、こんな形で倒れるのか。 絶滅させるべき存在である化物に、逆にくびり殺されて終わるのか。 既に身体は動かない。 アンジールによって刻まれた傷痕から、炎が体内までも侵略している。 再生が追いつくはずがない。身体を動かす余裕などない。 情けない。 何だこの体たらくは。 法王の下へと帰還することすら叶わず、こんなところで朽ち果てるのか。 このまま地獄の炎に焼かれ、消し炭となって路傍に打ち捨てられるのか。 アンジールやチンクを放置したまま。 あの男との決着もつけられぬまま。 ――アーカードを殺せぬまま。 「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉォォォォォォォォォォ――――――――……………ッッッ!!!!!」 【アレクサンド・アンデルセン@NANOSING 死亡】 【残り人数:42人】 ※G-6の南北に走る大通りと、その南側の延長線上の建物が、イフリートの「地獄の業火」を受けました。 道路は焼け焦げ、建物は崩壊しています。 ※H-6の川に、アンデルセンの焼死体と、焼け焦げたデイパックが浮いています。 アレクサンド・アンデルセンは死んだ。 道路に転がったグラーフアイゼンと、最期の絶叫がその事実を物語っている。 それは受け止めよう。もっとも、こんな形で決着がつくとは思わなかったが。 だが、今アンジールの青き視線は、全く別のものを捉えていた。 もはや彼の全神経は、それとは全く異なるものに向けられていた。 「……チンク……」 肩を震わせ、呟く。 視線の先に落ちていたのは、黒い眼帯とうさぎの耳。 何故かバニーガールの服装をしていた、あの小さな妹の身に付けていたものだ。 姉妹の中で最も幼い姿をしながら、12人中5番目に生まれていた娘。 小さな身体とは裏腹に、常に下の妹達の面倒を見ていたお姉さん。 いつしかそこに加わっていたアンジールのことも、仲間の一員として受け止めてくれていた。 ウーノがケーキを買ってきたときにも、自分の代わりに剣の手入れを引き受けるとまで言ってくれた。 「俺はまた……守れなかったのか……」 彼女の眼帯のその先には――同じく黒に染まった、短い右腕が落ちていた。 肘から下の部分であるそれは、完全に炭化してしまっている。 間に合わなかった。 イフリートの突撃を回避できず、その身を炎に焼かれてしまった。 その右腕だけを残して。それ以外の部分は、影も形も残らぬほどに。 地獄の責め苦の苦痛の中で、死体すら残さず燃え尽きてしまったのだ。 自分のせいだ。 自分の力不足が彼女を殺した。 あの時回避をチンクに任せなければ。 距離が離れていようとも、届いて助け出せるだけの速さがあれば。 2人目の家族を、死なせずに済んだのだ。 「……くそ……ッ!」 後悔が。絶望が。 男の顔を、歪ませる。 【1日目 午前】 【現在地 G-6 大通り】 【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 【状態】健康、疲労(中)、全身にダメージ(小)、セフィロスへの殺意、深い悲しみ 【装備】バスターソード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、アイボリー(6/10)@Devil never strikers 【道具】支給品一式×2、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、 ガジェットドローン@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本:クアットロを守る。 1.チンク…… 2.クアットロ以外の全てを殺す。特にセフィロスは最優先。 3.ヴァッシュ、アンデルセンには必ず借りを返す。 4.いざという時は協力するしかないのか……? 【備考】 ※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。 ※制限に気が付きました。 ※ヴァッシュ達に騙されたと思っています。 ※チンクが死んだと思っています。 ※G-6の大通りには、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、 チンクの眼帯、バニースーツのうさぎ耳、炭化したチンクの右腕が落ちています。 全てを見ていた者がいた。 戦場から離れた道路の上で、一部始終を目撃していた者がいた。 黒と紫に彩られた、ゴシップロリータのドレスを纏うのは、未だ10歳にも満たぬ少女。 薄紫の髪を風に揺らし、真紅の瞳は手元を見つめる。 「……お疲れ様」 ぽつり、と呟いた。 視線の先にある、宝石のような球体へと。 マテリアだ。 魔晄エネルギーが結晶化し、固体と化した球状の物体。 人間はこのマテリアを介することで、その種類に応じた古代の魔法を、自在に発動することができるのである。 そして彼女の手の中にあるのは、その中でも召喚マテリアと呼ばれるもの。 対応する召喚獣の名は、イフリート。 そう。 彼女こそが、あの灼熱の魔神を呼び出した張本人。 スカリエッティに協力する召喚魔導師――ルーテシア・アルピーノである。 全てはほんの偶然だった。 元々は当初の予定通り、スカリエッティのアジトへと向かおうとしていた。 しかし、F-7エリアまで足を運んだ時、とある発想が頭に浮かんだ。 ――あの光と風に従ってみよう、と。 ユーノ・スクライアを刺した直前、襲いかかってきた衝撃波を思い出したのだ。 あれが砲撃魔法か何かの余波ならば、当時の状況から推察するに、G-5かG-6に向かって飛んで行ったことになる。 少なくとも、アジトのある北東ではなさそうだ。通り道であったはずの、G-7にその気配がなかった。 あれだけの破壊力の矛先だ。きっとその先には何かがある。 幸いにも、ここからもそう遠くない。 生体ポットの様子を見に行く前に、少し覗きに行っても罰は当たるまい。 そう思い、ひとまずはそちらへ向かうため、大通り沿いにF-6へと踏み込んだ。 そして南下しようとした時、その先に彼らを見つけたのだ。 切り結ぶ剣士と神父、そしてその手前に立つチンクの姿を。 ちょうどいい。 3人も人が集まっているのだ。ここらでイフリートの力を試してみよう。 起動テストも兼ねた実験だったが、どうやら上手くいったようだ。 見事召喚獣は顕現し、その絶大な破壊力を見せつけた。 体力の消耗がついてくるのが玉に瑕だったが、十分な威力と言っていいだろう。 しかし、1つだけ不満がある。 あれだけの猛威を振るっておきながら。 「殺せたのは1人だけ……か……」 【1日目 午前】 【現在地 F-6 大通り】 【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、魔力消費(中)、疲労(小)、キャロへの嫉妬、1人しか殺せなかったのが残念 【装備】マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ウィルナイフ@フェレットゾンダー出現! 【道具】支給品一式、召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、 エボニー(10/10)@Devil never strikers、エボニー&アイズリー用の予備マガジン 【思考】 基本:最後の一人になって元の世界へ帰る(プレシアに母を復活させてもらう)。 1.どんな手を使っても最後の一人になる(自分では殺せない相手なら手は出さずに他の人に任せる)。 2.北へ向かい、スカリエッティのアジトへ一度行って生体ポッドの様子を確かめる。 3.一応キース・シルバーと『ベガルタ』『ガ・ボウ』を探してみる(半分どうでもいい)。 4.一応18時に地上本部へ行ってみる? 5.もしもレリック(刻印ナンバーⅩⅠ)を見つけたら確保する。 【備考】 ※ここにいる参加者は全員自分とは違う世界から来ていると思っています。 ※プレシアの死者蘇生の力は本物だと確信しています。 ※ユーノが人間であると知りました。 ふらり、ふらり、と。 おぼつかない足取りが、前へと進む。 ぼろぼろに焼け焦げたシェルコートと、ちりちりとくすんだ銀髪を、力なく風に揺らしながら。 火傷を負った全身を、引きずるように歩きながら、少女が東へと進んでいく。 チンクは生きていた。 ハードシェルの展開こそ間に合わなかったものの、何とか一命を取り留めたのだ。 イフリートの炎に煽られた彼女は、G-7の西端へと吹っ飛ばされていた。 そしてその後は、危険な戦場を離れるために、こうして東へと逃れていたのである。 考えるべき事項はいくつかあった。 アンジールはともかくとして、あのアンデルセンはどうなったのか。 見知らぬISを発動していたアンジールは、一体何者だったのか。 何故自分の名前を知っていて、ああも馴れ馴れしく接してきたのか。 だが、そんなことを考える余裕など、チンクには一切残されていない。 それ以上に大きな念が、彼女の脳内を占めていたから。 ぼとり、と。 コートの裾からこぼれ落ちる、漆黒の塊。 それを気に留めることもなく、目の前の巨大な建物へともたれかかり、腰を下ろす。 「……参ったな、ディエチ……」 か細い声が、呟く。 天を仰ぎながら、自嘲気味な笑みを浮かべる。 地獄の業火に飲み込まれたあの時、チンクはとっさに両腕を突き出し、防御態勢を取っていた。 爆発物の投擲を基本スタイルとする彼女にとって、何よりも失いがたい両腕を、である。 その結果かどうかは分からないが、どうにかこうして生き延びることはできた。 全身に負った火傷はひどく痛むが、それでも死には至っていない。 だが、その代償もある。 それこそがあの襲撃の現場に落ちていたものであり、そして彼女がたった今落としたもの。 アンジールが見つけたそれと同じように、ぼろぼろに焼け焦げて抜け落ちたのは――左腕。 「もう、姉は……戦えない身体なんだとさ……」 す、と。 金色の瞳から、一筋の雫が線を引いた。 【1日目 午前】 【G-7 デュエルアカデミア外部】 【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、疲労(中)、全身に火傷、両腕欠損、絶望 【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖-、シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、料理セット@オリジナル、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA s、 被験者服@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪×2(フェイト(StS)、ナイブズ)、 大剣・大百足(柄だけ)@魔法少女リリカルなのはsts//音が聞こえる、ルルーシュの右腕 【思考】 基本:姉妹と一緒に元の世界に帰る。 1.ディエチ……姉は…… 2.G-6~8を中心に、クアットロを探す。しばらくして見つからなかったら、病院に戻る。 3.クアットロと合流した後に、レリックを持っている人間を追う。 4.姉妹に危険が及ぶ存在の排除、及び聖王の器と“聖王のゆりかご”の確保。 5.ディエチと共闘した者(ルルーシュ)との接触、信頼に足る人物なら共闘、そうでないならば殺害する。 6.クアットロと合流し、制限の確認、出来れば首輪の解除。 7.十代に多少の興味。 8.他に利用出来そうな手駒の確保、最悪の場合管理局と組むことも……。 9.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲。 10.天上院を手駒とする。 【備考】 ※制限に気付きました。 ※高町なのは(A’s)がクローンであり、この会場にフェイトと八神はやてのクローンがいると認識しました。 ※ベルデに変身した万丈目(バクラ)を危険と認識しました。 ※大剣・大百足は柄の部分で折れ、刃の部分は病院跡地に放置されています。 ※なのは(A’s)と優衣(名前は知らない)とディエチを殺した人物と右腕の持ち主(ルルーシュ)を斬った人物は 皆同一人物の可能性が高いと考えています。 ※ディエチと組んだ人物は知略に富んでいて、今現在右腕を失っている可能性が高いと考えています。 ※フェイト(StS)の名簿の裏に知り合いと出会った人物が以下の3つにグループ分けされて書かれています。 協力者……なのは、シグナム、はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、クロノ、ユーノ、矢車 保護対象……エリオ、キャロ、つかさ、かがみ、こなた 要注意人物……十代 ※フェイト(StS)の知り合いについて若干の違和感を覚えています。また、クローンか本物かも判断出来ていません。 ※アンデルセンが死んだことに気付いていません。 ※アンジールと自分の関係は知りませんが、ISを使ったことから、誰かが作った戦闘機人だと思っています。 ※シェルコートは甚大なダメージを受けており、ハードシェルを展開することができなくなっています。 ※G-7のチンクの目の前には、炭化したチンクの左腕が落ちています。 Back Burning Dark(前編) 時系列順で読む Next Paradise Lost(前編) 投下順で読む Next 銀色の夜天(前編) チンク Next 過去 から の 刺客(前編) アレクサンド・アンデルセン GAME OVER アンジール・ヒューレー Next Round ZERO ~ JOKER DISTRESSED(前編) ルーテシア・アルピーノ Next 過去 から の 刺客(前編)
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/58.html
ルヴェラ鉱山遺跡 23:52 施設襲撃事件現場 アギト「襲撃があったのは昨日の夜」「現状施設職員に死亡者はなし」 「侵入者は経路の電子錠を警報も鳴らさずに解除しつつ」「誰にも見つからず現場まで一直線」 本局航空武装隊アギト一等空士 アギト「連中にしては随分とあっさりしてる。シグナムどう思う?」 シグナム「そうだな」「我々の任務はEC兵器――ディバイダー保有者の確保だ」 “元”機動六課第2分隊副隊長 本局航空武装隊 シグナム一等空尉 シグナム「それが誰であろうと」「必要とあれば打ち倒して確保するだけだ」 元機動六課の精鋭たちが再結集!?事件解決へ向けて、始動開始! 魔法戦記リリカルなのはForce Record03 「Huckebein(フッケバイン)」 ルヴェラ丘陵地帯 01 25 アイシス「ま、こーゆー野宿もたまになら楽しいよね」「管理局との追いかけっこ込っていうのもまた面白いし♪」 「で、なんで二人は追われてんの?」 トーマ「前にも言ったろ。心当たりはあるけど間違った事はしてないって」 アイシス「だからそれを詳しく聞かせてくれてもいいじゃ~ん!」「旅は道連れ、世は情け!」 リリィ『あのねアイシス』『トーマは私を助けてくれたの』『だからトーマは悪くない』 アイシス「あ、ああ、そうなんだ」『これ、念話?違うな、精神感応みたいな――』 スティール「捕捉しましょう」「彼女は違法施設らしき場所に捕らわれており。 助けを呼ぶ声で侵入した我々は施設の持ち主に焼き殺されかけました」 アイシス「……」 トーマ「施設の一部を壊したのは本当だし、リリィを勝手に連れ出したのも間違いない」 「だけど、ずっと逃げ続けるわけじゃない」「次元通信をできる教会まで云って、俺の信頼してる人に相談する」 「その人(スゥちゃん)は管理局の人だし、この手の事態に理解もある」 「だいたい通報したのが施設の連中なら警邏は俺の言い分なんて聞きゃしないだろうし」 アイシス「あー、そうだろうね」 トーマ「マスはリリィの安全確保。出るとこ出るのはそれから!」 スティール「まあ、彼女には怒られるかもしれませんがね」 トーマ「言うな」「もうとっくに覚悟の上だ」 アイシス「「スゥちゃん」ってトーマのお姉ちゃんとか?」 トーマ「まあ、そんな感じ」「血縁じゃないけど、恩人で、お世話になってる人」 「ワガママ言って、この旅行を許してもらってるから、心配かけたくないんだけど」「熱いから気をつけてね」 アイシス「あー、それはわかる」「あたしもそんな感じ」「家族にワガママ言って進学前の長期旅行」 トーマ「へー」 アイシス「トーマは?年齢的にはあたしと同じくらいに見えるけど」「進学は?」 トーマ「帰ったら進学するよう勧められてる」 アイシス「あははー」「魔法形でしょ?トーマは魔力強そうだし」 トーマ「そう?」「別に普通だと思うけど」 アイシス「結構凄いよ」「リリィ背負って走りっぱなしでも疲れてる様子ないし」 リリィ『ごめんねトーマ』『私、ちゃんと歩くから』 トーマ「あー、へいきへいき。リリィ軽いし」 アイシス「いいなぁ、あたしも背負って♪軽いから(ハートマーク)」 トーマ『なんでだ』 アイシス「服、キツイとことかない?」 トーマ『結構走ったのに全然疲れてないな』『あの時の魔法(?)も』『あんなでっかいの撃った反動も全然ないし』 『あの時の銃――ナイフ?』『なんつったっけ?確か――』 『EC…』『ディバイダー……?』「いっ!?」 ディバイダー996「Start Up」 アイシス「ななな、なにっ!?暴力反対!武装反対ッ!!」 トーマ「いやいや違う、待って待って!」「なんか出ちゃっただけっていうか!」 アイシス「なんじゃそりゃあぁ――――――――ッ!?」 リリィ『トーマ、『ブレード・オフ』で戻せると思う』 トーマ「あ、ほんとう」「ええと、ブレード・オフ」 ディバイダー996「Blade OFF」 トーマ「おお!」「あー、びっくりした」 アイシス「それ、こっちのセリフっ!!」「今の何?トーマのデバイス?」 トーマ「違う、俺の相棒はこいつ(スティート)だけ」 スティート「ええ」 アイシス「リリィも詳しくは知らないんだよね?」 リリィ『うん』『出し方と戻し方くらいしか』『ごめんね、トーマ』 トーマ「あー、大丈夫大丈夫」 スティート「その腕輪やあの施設の秘密と関わりがあるのでしょうね」 「危険な兵器かもしれません。取り扱いには十分な注意を」 トーマ「ああ」「あー、とりあえず、明け方まで休憩して、それから出るから」「二人とも休んどいて」 アイシス「はぁい」 リリィ『うん』 スティート「楽しいお友達ができたものですね」 トーマ「友達ってか」「要救助者と勝手についてきたへんな子だ」 スティート「それもです。誰かといる時の方が、あなたは楽しそうですから」 トーマ「そりゃ、まあね」 スティート「今回のこれは」「この旅を終わりにする良いきっかけかもしれませんね」 トーマ「捜し物も生き方を決めるのも、途中で終わらせるのは嫌だよ」 スティート「生き方はどこでも見つけられますよ」 トーマ「何度も言ったろ」「きっかけが欲しいんだ」 「あの日、街が砕けて俺も死にかけて。俺の大事な物が全部壊された」「ヴァイゼン遺跡鉱山でのこと」 「あの時あの場にいた」「多分、街を壊した誰か」「もう7年も前の」「公式記録で事故って断定されてる事だ」 「犯人なんていなくてほんとに事故だったのかもしれない」「だけどそうじゃないかもしれない」 「俺は本当の事を知りたいのか、知りたくないのか」「昔の事を全部忘れちゃっていいのかどうか」 「捜してるのはひ踏ん切りをつけるきっかけさ」 「半年間って時間を決めて探すだけ探して。それで見つからなかったら諦める」 「つってもまあ」「最近はもう、観光と宝探しばっかりだけどな」 スティート「ですね」 トーマ「俺だって、どうせなら平和で普通がいいんだ」「それはわかるだろう」 スティート「それは勿論」「――少しあたりを見回ってきます」「あなたも休んでください」 トーマ「ああ」「……ごめん」「ヘンな話聞かせちゃったか」 リリィ『ううん。寝てたから聞いてなかった』 アイシス「あたしも」 トーマ「そう」「でも、ま、ありがとう」『うえ』『すりむいたかな?赤くなってら』 アギト「施設の人間によれば、襲撃容疑者は十代半ばの少年だそうです」 「ECリアクター「銀十字の書」を盗み、施設の一部を破壊」「そして逃走」 「近隣の町に立ち寄った形跡があるので、現在手配をかけています」 ティアナ『そう』 イスタ市街地ホテルエントランスロビー ティアナ「“フッケバイン”の犯行ではない?」 アギト『確証はありませんが、手口はかなり違います」「設備や資材はほぼ無事ですし。何より死者が出ていません」 ティアナ「ただ、その少年がフッケバインの構成員でなかったとしても……」 アギト「連中の方からその少年に接触してくる可能性はあると見ています」 「ディバイダーやリアクター、あるいはその少年本人を手に入れるために」「とにかく迅速な発見と確保を目指します」 ティアナ「ありがとうアギト。頑張ってくれて助かるわ」 アギト『とんでもないです』 ティアナ「連絡は密に取っていきましょう。シグナム一尉にもよろしくお伝えして」 アギト『はいっ!』 アギト「シグナム、報告終わったよ」 シグナム「ああ」 アギト「どうかした?」 シグナム「いや、なんでもない。ご苦労だったなアギト」 アギト「なぁに」 シグナム『やはり気になるな』『嫌な風だ』『まるで戦の前夜のような』 トーマ「あー、見えた見えた」 アイシス「ほんとだ」「聖王教会の建物はどこの世界でも変わらないねぇ」 トーマ「そうだな……?」 アイシス「…あれ?」 トーマ『――この臭い、火薬と血の――』「スティード、二人を頼む!」 スティード「はい!」 アイシス「え!?」 トーマ「俺、中の様子を見てくる。二人はここからなるべく離れてて」 アイシス「ちょ、トーマ!」 トーマ「これは……」「シスター……」 謎の男「来んのが遅ェよ」「おかげでこんな胸クソ悪ィ場所で」「いらねェ殺しをするハメんなった」 「いいか坊主」「要件は一つっきりだ」「てめェが盗みだしたディバイダーとリアクター。両方まとめてこっちに寄越せ」 「ガキのオモチャにゃ過ぎた品だ」「死にたくなきゃあ」「さっさと寄越せ」 トーマ『藍色の羽根』『俺がずっと捜してた――!』 To be conntinued Record04 「Eclipse(エクリプス)」
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2238.html
海岸沿いに建つ真新しい建物――機動六課隊舎へと続く、舗装されたばかりの道を、エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエは並んで歩いていた。 卸したての制服は二人とも袖が余り、十歳という年齢相応の幼い顔立ちとも相まって、服を着ているというよりも服に着られているような印象を周囲に与える。 「スターズ隊の前衛って、どんな人達なのかな……?」 「上手くやっていけると良いね」 不安そうに俯くキャロに、エリオはそう言って笑いかけた。 右手でキャロの左手を取り、元気付けるようにぎゅっと握り締める。 初めての職場のまだ見ぬ同僚に、不安や緊張を抱くのは仕方がない……それはエリオも同じである。 しかし、自分達ならば上手くやっていけるという自信もエリオにはあった。 初めて会ってから数日しか経っていない自分とキャロはもう友達になれた、他の六課の仲間ともきっと一緒に頑張っていける。 「一緒に頑張ろう」 屈託なく笑うエリオにキャロも顔を上げ、「うん」と笑顔で頷いた。 握った右手がキャロからも握り返され、掌を通じて体温が伝わってくる。 いつの間にか足は止まり、互いにじっと見つめ合う少年少女……。 完全に二人だけの世界に入ってしまったエリオとキャロに、キャロの傍らを飛ぶ白い小さな龍――フリードは呆れたように火を吐いた。 往来の真ん中で人様に迷惑だとかお前ら初日から遅刻するつもりかとか、言いたいことは山程あるが、しかし今の二人の間に割って入るだけの度胸はフリードには無い。 どうしたものかと天を仰ぐフリードは、その時、蒼天の彼方でキラリと光る何かを見た。 流星だろうか……徐々にその大きさと輝きを増すその「光」に、フリードは現実逃避でもするようにぼんやりと思考を巡らせる。 段々と近づいてくる光を眺めながら、フリードはふと気付いた……あれ、これってもしかして直撃コースじゃね? 青ざめるフリードが警告の鳴き声を上げようとした、その瞬間、一枚の巨大な光の「壁」がギロチンのように二人と一匹の眼前に突き刺さった。 「うわっ!?」 「きゃあ!!」 地を揺るがす衝撃と舞い上がる土煙に、エリオ達は思わず悲鳴を上げる。 二人の目の前にそそり立つ巨大な「壁」――否、空を切り裂き、雲を貫き、轟音と共に地面に垂直に突き立ったそれは、巨大な、余りにも巨大な……「道」だった。 不測の事態はまだまだ続く。 空へと続く光の「道」――その向こう側から、何かが来る、何か巨大なものが駆け下りてくる。 「赤い、ロボット……?」 「顔のお化けだ……」 呆然と呟くエリオとキャロ、二人の言葉が全てを語っていた。 二人の頭上を飛び越え、地響きと共に着地した「道」の主、それは赤を基調とした鋼の巨人だった。 鬼を思わせる額の一本角、爬虫類のような尻尾、そして胴体部分を占領している第二の「顔」……。 その全てが、禍々しい。 混乱した思考は徐々に落ち着きを取り戻し、二人は接近する異形の巨人の正体を冷静に推測する。 凶悪な外見に、機動六課の正式稼動直前の隙を狙ったかのようなこのタイミング。 この「道」にしてもよくよく考えてみれば、自分達を狙った奇襲攻撃と思えなくもない。 敵であることは最早明白、ならば自分達のするべきことは一つ…… 「起きろ、ストラーダ」 エリオの呼びかけを受け、右手首に巻かれた腕時計――ストラーダの液晶が明滅する。 キャロの左手首を飾る二つの腕環――ケリュケイオンも、主の闘争の意思を感じ取ったように淡い輝きを発している。 エリオがキャロを見る、キャロもエリオを見ている。 軽く頷き合うだけで互いの意思を把握し、二人は固く握っていた手を離す。 「ストラーダ!」 エリオが右手で拳を握り、 「ケリュケイオン!」 キャロが左手を高く掲げる。 「「――セットアップ!!」」 凛とした主の声に応えるように、二つのデバイスは光と共にその真の姿を現す。 フリードも臨戦状態に入ったのか、可愛らしくも雄々しい咆哮を上げた。 機動六課は自分達が守る……熱い誓いを胸に抱き、少年少女とその他一匹の戦いが始まろうとしていた。 同時刻、機動六課隊舎部隊長室。 来客を告げるブザーの音に、はやてとリインフォースⅡは顔を上げた。 「はい、どうぞ」 はやての了承の声と共に自動扉が開き、機動六課の制服に着替えたなのはとフェイトが姿を現す。 「お、二人ともキまっとるやん」 「お似合いですー」 口々に褒めるはやてとリインフォースⅡに、なのはとフェイトは照れたように笑みを浮かべる。 「この部屋も、やっと隊長室らしくなったね」 そう言って部屋の中を見回すなのはに、はやても笑顔で頷く。 最初は何も無い、ただ広いだけの部屋だった。 そこにまず机が運び込まれ、続いて書類や他の備品、その他様々な物資が部屋中に無秩序に置かれていった。 山のように積み上げられた段ボール箱を一つ一つ開き、必要なものを必要な場所に整理していく――そうして漸くオフィスらしい体裁を整えきったのが、昨日の夜遅く。 この部屋がこの部屋らしくなるまでの一連の流れは、はやてが機動六課設立のために奔走したこの四年の月日そのものだった。 「……やっとや。やっとこれから、始まるんや」 感慨深そうに呟くはやてに、なのはとフェイトが同意するように首肯する。 「高町なのは一等空尉」 背筋を伸ばし、管理局員としての名を名乗るなのは。 「フェイト・T・ハラオウン執務官」 表情を引き締め、魔導師としての名を告げるフェイト。 「本日只今より、両名共機動六課へ出向となります」 「どうぞ宜しくお願いします」 そう言って敬礼するなのはとフェイトに、はやても敬礼と共にこう応える。 「こちらこそ、よろしくお願いします。なのは隊長、フェイト隊長」 形式通りの就任挨拶を終え、久々に同じ制服で揃った幼馴染三人は、懐かしさと気恥ずかしさに笑い合う。 中学校卒業と共に正式に管理局に入局した三人は、それぞれ別の道を歩き始めた。 なのはは教導官、フェイトは執務官、そしてはやては捜査官。 違う色の明日を目指して別たれた三つの道は、しかし再び一つに繋がった。 それが一瞬の交錯に過ぎなくても、目指す明日は違うままでも、もう一度三人で「今」を生きられる。 たったそれだけのことが、三人には堪らなく嬉しかった。 「頑張っていこーか!」 気合いを入れるはやてになのは達も力強く頷こうとしたその時、非常事態を告げるサイレンの音が隊舎中に響き渡った。 『緊急事態です。八神部隊長』 動揺する三人の前にウィンドウが開き、眼鏡をかけ落ち着いた物腰の青年――グリフィス・ロウランの顔が映し出される。 「グリフィス君! これは一体何事や!?」 絶妙なタイミングで現れた副官に、はやてが詰め寄る。 その剣幕に気圧されながらも、グリフィスは己の仕事を全うするべく口を開いた。 『報告します。機動六課敷地内で中規模の戦闘発生、現在隊舎前でライトニング隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が戦っています』 グリフィスからの報告に、はやて達の間に緊張が走る。 正式稼動前とはいえ敷地内、それもこの隊舎前まで敵の侵入を許した上、迎撃に出ているのは経験の浅い新人四人……分が悪いにも程がある。 「これは、ちょっとマズいかもね……」 ぽつりと呟かれたなのはの言葉に、はやても青ざめた顔で頷く。 「グリフィス君、敵の種類や数は? エリオ達は何と戦っているの?」 はやての横からウィンドウを覗き込み、フェイトがグリフィスに問い質す。 エリオもキャロもまだ十歳、その上戦闘の経験も皆無である。 そして何より、フェイトにとって二人は部下である前に大切な家族なのである。 泣きそうな表情でウィンドウを見つめるフェイトに、グリフィスは何故か複雑そうな顔で目を逸らした。 「……グリフィス君?」 副官の不自然な行動にはやてが怪訝そうに眉を寄せる。 『いえ、ですから……「ライトニング分隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が」戦っているんです』 言い辛そうに、本当に言い辛そうに繰り返されるグリフィスの報告――先程と同じ、しかし決定的に何かが違うその言葉に、なのは達は先程とは別の意味で息を呑んだ。 まさか……。 唖然とした顔で顔を見合わせる三人の前に、新たなウィンドウが表示された。 外の様子を映し出したそのウィンドウの中では、……確かに「ライトニング分隊前衛二人とスターズ隊前衛二人が」戦っていた。 「皆は僕達が守るんだああああっ!!」 槍型のデバイス――ストラーダのブースターを噴かし、怒号と共にラゼンガンに突撃をかけるエリオ。 砲弾のようにラゼンガンに体当たりし、そして吹き飛ばす。 全長20mの巨体が宙を舞い、土煙を上げて地面に叩きつけられる。 『ぁ痛たた……こらー! 話を聞きなさいよ、この馬鹿ガキ共!!』 『そうそう! あたし達を誰だと思ってるの!?』 憤慨したようにティアナとスバルの声で抗議するラゼンガンに、エリオは問答無用とばかりにデバイスを構え直した。 その足元に展開される魔方陣――加速と防御の呪の込められたキャロの補助魔法が、エリオに力を与える。 エリオの目つきが刃のように鋭くなり、瞳の奥では覚悟の炎が燃えている……再度突貫する気満々である。 『ティ、ティア! やっぱりウィングロードで人身事故起こしかけたのを怒ってるのかなぁ!?』 『アンタ馬鹿ぁ!? そんな悠長なこと言ってる余裕なんて無いでしょ!!』 狼狽える上の顔を一喝する下の顔、その一瞬の隙をエリオは見逃さなかった。 ストラーダのブースターを全開で噴かし、そして自身も全力で地を蹴る。 一瞬でトップスピード――キャロの魔法の加護でそれ以上の速度域まで加速したエリオが、弾丸のようにラゼンガンに迫る。 『この馬鹿ガキ……いい加減にしなさいよ!!』 怒髪天を衝く――寧ろ怒リル天を突く。 ティアナの怒声と共にラゼンガンの全身からドリルが突き出し、触手のようにうねりながらエリオに襲いかかった。 「うわっ!?」 咄嗟に防御陣を展開するエリオだが、迫り来る無数のドリルの触手の猛攻に抗しきれずに墜落、限界を超えた突進速度そのままで地面に叩きつけられた。 「エリオ君!?」 撃墜されたエリオにキャロが悲鳴を上げながら駆け寄る。 「だ、大丈夫……!」 そう言ってデバイスを杖代わりに立ち上るエリオだが、墜落のダメージで膝は震え、強がるような言葉とは裏腹に全然大丈夫そうには見えなかった。 ラゼンガンからの思わぬ反撃、その事実に一番動揺していたのは、他ならぬラゼンガン自身だった。 『ちょっと、ティア!? 何反撃してるの!?』 「黙れ馬鹿スバル! アンタこの状況が解ってないの!? 所長もはやて部隊長も言ってたでしょ? やらなきゃ殺られる、戦わなければ生き残れない……そう、これは戦争なのよ!!」 『その相手が根本的に間違ってるよーな気がするのはあたしの気のせいかなぁっ!?』 絶叫するスバルを無視して、ティアナはラゼンのモニター越しにエリオ達を睨みつけた。 この生意気なガキ共に灸を据えてやる……頭に血が上った今のティアナの思考は、その衝動一色に染まっていた。 「スバル、躾ってさ……ついハードになっちゃうものよね?」 静かな、まるで凍てついたように静かなティアナの声に、スバルは思わず身を震わせた。 ヤバい、このままじゃ洒落にならない……通信ウィンドウに映るティアナの顔から危険な何かを感じ取り、スバルはラゼンガンの制御を奪い取った。 「えーと、あのね……」 暴力はいけないと思うから話し合いで解決しよーと続く筈だったスバルの思いは、しかし言葉になる前に喉の奥で消滅していた。 キャロが――白い小さな龍を従え、傷ついたエリオを守るように立つ桃色の髪の少女が、ラゼンガンを――否、そのコクピットシートに座るスバルを、睨みつけている。 幼い瞳に浮かぶのは、大切な人を傷つけられた怒り、傷つけ合うことしか出来ない哀しさ、そして傷つき傷つけてでも大切なものを守る決意。 覚悟の炎が、燃えていた。 「フリード」 傍らを飛ぶフリード――卵の頃からずっと傍にいてくれている小さな「家族」に、キャロは優しい声色で語り掛ける。 「ごめんね、窮屈な思いをさせて……」 フリードのこの小さな身体は、本来の姿ではない。 大き過ぎるが故に恐れられ、偽りの器に押し込めた本当の力と姿――白銀の飛龍。 「私は自分の力が嫌いだった。フリードのことも、もしかしたら嫌いだったのかもしれない……」 それは偽らざるキャロの本心だった。 制御不能な力はキャロから居場所を奪い、孤独と恐怖を押しつけ続けた。 破壊しか生まず、奪うだけで何も与えてくれない己の力――そしてその象徴、フリードリヒ。 嫌わぬ筈が無い、憎まぬ道理が無い。 「でも……」 しかし今、嫌っている筈のフリードの力を、憎んでいる筈の自分自身の力を、キャロは何よりも欲していた。 奪われないために。 守り抜くために。 「私はもう逃げない! フリードからも、自分自身からも!!」 それは決意だった――自分自身と真っ直ぐに向き合う、そんな覚悟。 それは覚悟だった――どんなに大きな力でも背負ってみせる、そんな覚悟。 そしてそれは誓いだった――自分のこの力で優しい人を、自分に笑いかけてくれる人達を守り通す、そんな誓い。 故に少女は力を求める、傍らの半身に力を請う。 「だからお願い、力を貸して……フリードリヒ!!」 その言葉と共にキャロの足元に巨大な魔方陣が展開され、フリードが歓喜するように咆哮を上げる。 名前は力を持つ――地球やキャロの出身世界〝アルザス〟など、次元世界各地に残る伝承である。 魔法理論の発達した現代では迷信として廃れた思想だが、嘘の筈は無いとフリードは思う。 現に名前を、自分の本当の名前を呼ばれただけで、自分はこんなにも力が湧いているのだから……。 フリードの小さな身体が光と共に弾け、代わりに地上の魔方陣から巨大な影が浮上する。 「これが、フリードの本当の姿……?」 呆然と呟くエリオを一瞥し、キャロは最後の仕上げに入る。 名前は力を持つ――故郷アルザスに伝わる言い伝えを、キャロもまた信じている。 ここ一番の大舞台に名乗りは不可欠、名前を飾る口上も欲しい。 故にキャロは告げる、この名前を。 自分の力を、自分達の存在を、世界に宣言する。 「白き閃光蒼穹を奔り、銀の翼が天を翔ける! 龍魂召喚フリードリヒ、私達を誰だと思っているの!!」 凛としたキャロの名乗りに呼応して、白銀の飛龍――フリードリヒの咆哮が轟く。 宝石のような瞳に輝く、闘争の炎と理性の光――かつて幾度となく暴走し、その度に何もかもを壊し続けてきたフリードリヒの力を、キャロは完全に制御していた。 初めての龍召喚成功。 それはキャロにとっても、機動六課にとっても、本来喜ぶべき結果であろう。 惜しむらくはその矛先が、龍使いの少女とその半身が敵意の牙を向けるその先が、他ならぬ機動六課の仲間であるということである。 誤解という名の運命の皮肉に気付くことなく、指し手のいない盤上の駒達は最悪の結末へと進もうとしていた。 「ちょっとちょっとちょっとちょっとぉっ!?」 「何よアレ? 何よアレ!? あんなのアリ!?」 巨大化したフリード――フリードリヒの姿に、スバルとティアナはラゼンガンのコクピットで、狼狽えたように声を上げる。 フリードリヒの大きさはラゼンガンの半分程度、しかしその存在感は圧倒的である。 白銀の飛龍の口元に光と炎が集い、激烈な輝きが周囲を眩く照らす。 「……やるしか、ないっていうの!?」 血を吐くようなスバルの叫びと共に、ラゼンガンの全身から突き出したドリルが右腕に絡みつき、一本の巨大なドリルとして融合成長していく。 『ちょっとスバル、それはっ……!!』 通信ウィンドウに映るティアナが血相を変えて叫ぶが、スバルは止まらない、止まれない。 コンソール中央の渦巻き状のゲージ――スバルの螺旋力を示すそれは一向に上昇の気配を見せない。 それはある意味、当然である。 攻撃に迷いのある今のスバルに、自分を信じていない今のスバルに、螺旋力の発動など出来る筈が無いのだから。 にも関わらず、右腕のギガドリルは巨大化を続けている、膨張を続けている。 まるで風船のように外側だけが膨らみ続ける、中身の無い空っぽのドリル――それは今のスバルの心そのものだった。 しかしそれでも、砲撃を貫き飛龍の大きくも小さな身体を貫く程度のことは、この空っぽのドリルでも可能なのだ。 極限まで膨れ上がる二つの敵意と殺意が、次の瞬間、爆発した。 「ブラストレイ!!」 キャロの号令と共にフリードリヒが火球を放つ。 「ギガドリルブレイク!!」 スバルの絶叫と共にラゼンガンのギガドリルが咆哮を上げる。 駆け引きも何も無い、純粋な力と力――想いと思いの正面衝突。 そして次の瞬間……、 「え……?」 その気の抜けたような呟きは、果たして誰の発したものであったのだろう。 どちらかを必ず滅ぼす筈の二つの必殺の一撃は、しかしどちらを滅ぼすことも、それも互いに届くことすらなく、両者の中間で止まっていた。 ……否、止められていた。 背中合わせにラゼンガンとフリードリヒの間に立つ、二人の乱入者によって。 『なのはさん……?』 桜色の防御陣でギガドリルを受け止める、亜麻色の髪の魔法少女がいた。 「フェイトさん……?」 金色の防御陣で火球を押し止める、金の髪の魔導師がいた。 「皆……少し、頭冷やそうか」 能面のように無表情な顔で、氷のように凍てついた声で、なのはがラゼンガンー―スバルを見下ろし、そう口にする。 「やんちゃが過ぎる子には、おしおきが必要だよね……?」 額にうっすらと青筋を浮かべ、フェイトがエリオとキャロ、そしてフリードリヒを順番に眺め遣り、そう告げる。 それは実質的な死刑宣告だった。 「「フルドライブモード」」 二人の号令と共に、レイジングハートが槍型に、バルディッシュが大剣型に変形する。 そして間髪入れずに魔力の充填を始める二人のオーバーS級魔導師に、四人の顔から血の気が引いた。 慌てた四人が言い訳する余裕も、逃げ出す隙も与えることなく、二つの必殺を超えた超必殺魔法が、解き放たれる。 「エクセリオンバスター!!」 「トライデントスマッシャー!!」 その瞬間、桜色の光の奔流と金色の雷が、二人と一匹と一体を呑み込んだ。 「……まさか運用初日から、しかも味方相手に限定解除使う羽目になるとは、流石に思わへんかったよ……」 ウィンドウに映し出される、焼け焦げ、大きく穿たれた地面。 その中心で目を回すライトニング隊前衛の二人と一匹と、ガラクタ同然まで破壊されたスターズ隊所属の巨大ロボの姿に、はやては万感の思いを込めて嘆息した。 ウィンドウに映るグリフィスも呆れたような表情を浮かべている。 四年越しで実現したはやての夢――機動六課。 しかし待ちに待ったその船出は、早速悪天候どころか嵐に見舞われることとなった。 新人四人への説教やら本部への始末書やらを思い遣り、はやてはもう一度大きく息を吐いた。 「……色々と波乱万丈やね、うん」 現実逃避するようにそう零しながら、はやては手元のメモ用紙にペンを走らせる。 ――第一回機動六課分隊対抗ガチンコバトル。 ――結果:両分隊隊長の独り勝ち。 「負けんでぇ……ウチはこの程度では折れへんでぇーっ!!」 自棄になったようなはやての空虚な雄叫びが、部隊長室に響き渡った。 天元突破リリカルなのはSpiral 第6話「色々と波乱万丈やね、うん」(了) 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/henroy/pages/576.html
主催陣営のキャラ追跡表 【仮面ライダーW】 加頭順 10 NO. 作品名 作者 000 オープニング ◆w4Pq5j/FG. 074 第一回放送 ◆LuuKRM2PEg 120 第二回放送 ◆gry038wOvE 158 第三回放送X 167 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編)黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) 183 第四回放送Y(前編)第四回放送Y(後編)変身ロワイアルの真実 203 私のすてきなバイオリニスト(前編)私のすてきなバイオリニスト(後編) 208 崩壊─ゲームオーバー─(1)崩壊─ゲームオーバー─(2)崩壊─ゲームオーバー─(3)崩壊─ゲームオーバー─(4)崩壊─ゲームオーバー─(5)崩壊─ゲームオーバー─(6)崩壊─ゲームオーバー─(7)崩壊─ゲームオーバー─(8)崩壊─ゲームオーバー─(9)崩壊─ゲームオーバー─(10)崩壊─ゲームオーバー─(11)崩壊─ゲームオーバー─(12) 217 インターミッション 219 変身─ファイナルミッション─(1)変身─ファイナルミッション─(2)変身─ファイナルミッション─(3)変身─ファイナルミッション─(4)変身─ファイナルミッション─(5)変身─ファイナルミッション─(6)変身─ファイナルミッション─(7)変身─ファイナルミッション─(8)変身─ファイナルミッション─(9)変身─ファイナルミッション─(10) 【ハートキャッチプリキュア!】 サラマンダー男爵 6 NO. 作品名 作者 074 第一回放送 ◆LuuKRM2PEg 127 第二回放送(裏) ◆gry038wOvE 158 第三回放送X 172 X、解放の刻/楽園からの追放者X、解放の刻/パンドーラーの箱 ◆7pf62HiyTE 183 第四回放送Y(前編)第四回放送Y(後編)変身ロワイアルの真実 ◆gry038wOvE 203 私のすてきなバイオリニスト(前編)私のすてきなバイオリニスト(後編) 【仮面ライダーSPIRITS】 ニードル 7 NO. 作品名 作者 074 第一回放送 ◆LuuKRM2PEg 120 第二回放送 ◆gry038wOvE 158 第三回放送X 168 壊れゆく常識 ◆LuuKRM2PEg 173 ルシアン・ヒルの上で ◆gry038wOvE 212 時(いま)を越えろ! 218 BRIGHT STREAM(1)BRIGHT STREAM(2)BRIGHT STREAM(3)BRIGHT STREAM(4)BRIGHT STREAM(5) 【ウルトラマンネクサス】 吉良沢優 7 NO. 作品名 作者 120 第二回放送 ◆gry038wOvE 158 第三回放送X 175 「Wish」 182 The Gears of Destiny - 託される思い、激昂の闘姫 -The Gears of Destiny - 結成!ガイアセイバーズ ヒーロー最大の作戦 -The Gears of Destiny - 忘れえぬ思い出を胸に -The Gears of Destiny - 全参加者最終状態表 - 183 第四回放送Y(前編)第四回放送Y(後編)変身ロワイアルの真実 201 覚醒!超光戦士ガイアポロン(Cパート) 218 BRIGHT STREAM(1)BRIGHT STREAM(2)BRIGHT STREAM(3)BRIGHT STREAM(4)BRIGHT STREAM(5) 【仮面ライダークウガ】 ラ・バルバ・デ 6 NO. 作品名 作者 127 第二回放送(裏) ◆gry038wOvE 158 第三回放送X 174 挑戦 ◆LuuKRM2PEg 184 さようなら、ロンリー仮面ライダー(前編)さようなら、ロンリー仮面ライダー(後編) ◆gry038wOvE 189 究極 191 黎明の襲撃者(小雨 2 00~2 10)黎明の襲撃者(雨 2 10~2 20)黎明の襲撃者(雷雨 2 20~2 30)黎明の襲撃者(風雨 2 30~)黎明の襲撃者(曇心 2 30~) ラ・ドルド・グ 4 NO. 作品名 作者 127 第二回放送(裏) ◆gry038wOvE 158 第三回放送X 184 さようなら、ロンリー仮面ライダー(前編)さようなら、ロンリー仮面ライダー(後編) 189 究極 【らんま1/2】 八宝斎 1 NO. 作品名 作者 127 第二回放送(裏) ◆gry038wOvE 【超光戦士シャンゼリオン】 ゴハット 4 NO. 作品名 作者 158 第三回放送X ◆gry038wOvE 167 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編)黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) 200 怪奇!闇生物ゴハットの罠 201 覚醒!超光戦士ガイアポロン(Aパート)覚醒!超光戦士ガイアポロン(Bパート)覚醒!超光戦士ガイアポロン(Cパート) 【侍戦隊シンケンジャー】 脂目マンプク 4 NO. 作品名 作者 158 第三回放送X ◆gry038wOvE 169 双大将再会 195 第五回放送Z 216 帰ってきた外道衆 特別幕 【魔法少女まどか☆マギカ】 美国織莉子 6 NO. 作品名 作者 158 第三回放送X ◆gry038wOvE 168 壊れゆく常識 ◆LuuKRM2PEg 182 The Gears of Destiny - 託される思い、激昂の闘姫 -The Gears of Destiny - 結成!ガイアセイバーズ ヒーロー最大の作戦 -The Gears of Destiny - 忘れえぬ思い出を胸に -The Gears of Destiny - 全参加者最終状態表 - ◆gry038wOvE 183 第四回放送Y(前編)第四回放送Y(後編)変身ロワイアルの真実 211 あたしの、世界中の友達あたしの、いくつものアヤマチ 218 BRIGHT STREAM(1)BRIGHT STREAM(2)BRIGHT STREAM(3)BRIGHT STREAM(4)BRIGHT STREAM(5) 呉キリカ 2 NO. 作品名 作者 182 The Gears of Destiny - 託される思い、激昂の闘姫 -The Gears of Destiny - 結成!ガイアセイバーズ ヒーロー最大の作戦 -The Gears of Destiny - 忘れえぬ思い出を胸に -The Gears of Destiny - 全参加者最終状態表 - ◆gry038wOvE 183 第四回放送Y(前編)第四回放送Y(後編)変身ロワイアルの真実 【魔法少女リリカルなのはシリーズ】 アリシア・テスタロッサ 4 NO. 作品名 作者 158 第三回放送X ◆gry038wOvE 175 「Wish」 183 第四回放送Y(前編)第四回放送Y(後編)変身ロワイアルの真実 218 BRIGHT STREAM(1)BRIGHT STREAM(2)BRIGHT STREAM(3)BRIGHT STREAM(4)BRIGHT STREAM(5) プレシア・テスタロッサ 3 NO. 作品名 作者 158 第三回放送X ◆gry038wOvE 175 「Wish」 183 第四回放送Y(前編)第四回放送Y(後編)変身ロワイアルの真実 【牙狼-GARO-】 ガルム 2 NO. 作品名 作者 182 The Gears of Destiny - 託される思い、激昂の闘姫 -The Gears of Destiny - 結成!ガイアセイバーズ ヒーロー最大の作戦 -The Gears of Destiny - 忘れえぬ思い出を胸に -The Gears of Destiny - 全参加者最終状態表 - ◆gry038wOvE 214 時代 コダマ 1 NO. 作品名 作者 214 時代 ◆gry038wOvE 【魔法少女リリカルなのはシリーズ】 【仮面ライダーW】 【仮面ライダーSPIRITS】 【侍戦隊シンケンジャー】 【ハートキャッチプリキュア!】 【魔法少女まどか☆マギカ】 【らんま1/2】 【フレッシュプリキュア!】 【ウルトラマンネクサス】 【仮面ライダークウガ】 【宇宙の騎士テッカマンブレード】 【牙狼-GARO-】 【シークレット】 【超光戦士シャンゼリオン】 【主催陣営】 【外部世界】
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2722.html
切り替わる仮面。 自らを映し出す心の鏡。 映るのは自分だけとは限らない。 02 Montage AM12 53 機動六課、隊長室。そこでは、現在重苦しい空気が流れていた。 「――で、この人に助けてもらったと」 「うん……」 世界が時間を取り戻し、六課のシステムが復旧した頃、なのはと青年は六課に保護され、現在部隊長であるはやてに事情を説明していた。 しかし、その内容はとても信じられるようなものではなく、はやては頭を抱えたくなった。 当事者の一人である青年は連れてこられてすぐは物珍しげに辺りをキョロキョロと見回していたが、今は大人しくなのはの隣で、フェイトとデスクに腰掛けたはやてに向き合っていた。 はやては青年の顔を見つめる。この青年も訳が分からない。 六課に保護したはいいが、何故か腰に銃を下げていた。質量兵器が禁止されているというのにどうやってそれを入手したのかは知らないが、押収してみるとその正体はアンティークのようなもので、弾丸は出ない仕様になっていた。 着ている制服らしき服はタイまで締められ、首から提げていたのは携帯型の音楽プレーヤー。 戦地にいたとしてはおかし過ぎる格好だ。浮世離れした奇妙な存在感を、彼は放っていた。加えて、 「シャドウに影時間、か……」 隠された時間。止まっていた時間。映像記録の繋がりの不自然さも物語っている。 確認した映像記録では、ほんの一秒前まで存在していなかった青年がなのはの隣に立っていたのだ。 自身も体験している以上、影時間というものの存在については認めざるを得ないだろう。 しかし、なのはの言う「化け物」はどうにも要領を得なかった。それを語るなのは自信も困惑した様子で、「手が沢山生えた影のような化け物」とこれだけだ。 しかしなのはの言葉からは嘘は感じられなかったし、隣の青年の証言も合わせて考えるに、それはどうやら事実であるらしかった。 証拠がないからと言って十年来の友の言葉を軽く扱うはやてではない。 シャドウと呼ばれる怪物にどう対応すればいいのか……。 鍵は、目の前の青年が握っているらしい。 AM12 00 時間は影時間に遡る。 「あの、さっきはありがとうございました」 「……気にしなくていい」 あの後、なんとか立ち上がったなのはは、彼に話を聞いていた。 彼が道に迷っていたこと、偶然なのはを見つけたこと。そして、影時間のこと。 「影時間?」 「そう。一日と一日の狭間に存在する、隠された時間。 この時間の中では特殊なものを除いて一切の機械が動かなくなり、人間も、一部の人たちを除いて、「象徴化」し、棺型のオブジェになる」 青年の話は胡散臭いことこの上ない。 しかし、異常なこの現状や、先ほどの恐怖が拭い去れずにいるなのはは、それ併せて考え、青年を信じることにする。 頷いて、続きを促した。 「その一部の人たちは、「ペルソナ使い」と呼ばれる。 僕がさっきして見せたように、精神の力を具現化させることができる、素質を持った人たち。 さっきの怪物…僕が「シャドウ」と呼んでいるアレは、その素質を持った人を襲う」 「それって……」 なのはの呟きに、今度は彼が頷いた。そう、と呟いて、言葉を続ける。 「あなたにも、ペルソナを使う素質がある」 青年の言葉から数分後、影時間が終わり、周囲があるべき時を取り戻し始めた。 ガジェットもこれまでと同じように活動を再開する。 ちょうど一時間前と変わらない光景に、なのはは気を引き締めると、レイジングハートをセットアップした。 「それは……?」 驚きに目を見開く彼に微笑みかけると、残るガジェットを殲滅すべく、なのはは空に戻って行った。 青年は、魔導師を見たことは無論なく、ましてやこの世界の常識が一切分からない。 とりあえず目の前の女性が壊している機械を見て、自分も参戦して手伝おうかと思ったが、どうやら必要なさそうだ。 一気に手持ち無沙汰になってしまった青年は傍若無人にもズボンのポケットに両手を収めると、戦闘を傍観し始めた。 彼女に話を聞かない限りは自分はここで行き倒れるかもしれない。 転生してすぐそれはごめんだった。ならばここはこの戦いが終わるのを待つしかない。 なのはとしても、青年が下手に動かない方がやりやすかったこともある。 しかしそんな判断がその事態を招いたのかも知れない。 なのはから遠く離れ、射程から離脱していたガジェットは、近くにいた青年の後ろに回り込むように旋回していたのだ。 なのはが気づいた時には既に遅く、ガジェットは青年に攻撃を仕掛ける寸前だった。 「危ない、後ろ!」 なのはの声に咄嗟に振り返った青年は、ガジェットの攻撃をかろうじて回避した。 なのはは安堵の溜息をつき、しかし彼の矛盾に内心首を傾げた。 何故あれ程の怪物を倒せておきながら、攻撃に参加しないのだろうか? 彼はただ単にこの世界がどういうものか分からなかったし、戦う必要も思い当たらなかったので手を出さなかっただけなのだが、それでも今の不意打ちには思うところがあったらしい。 ホルスターの銃を抜くと、その銃口を躊躇うことなく、自らの頭に向けた。 「何を……!?」 するの、となのはが言い終わる前に、そのトリガーは引かれた。体を銃身に、精神を火薬にして。 果たして放たれた弾丸は、彼の心の仮面。自らを守護する精神の鎧であり、剣。 「オルフェウス……!」 最も目を引くのは背に背負われた巨大な竪琴だ。 そして、異様に細長い付け根と、その先に円筒を取り付けただけのような異形の手足。 腹部にはスピーカーのようなへこみがあった。アンバランスなシルエット。 青年に似ているようで、細部で大きく異なる異人。 「あれが……ペルソナ」 現れ出でし幽玄の奏者は、その背に背負う竪琴を後ろに振りかぶると、か細い腕のどこにそんな力があろうかという勢いで、思い切りガジェットに叩きつけた。 凄まじい衝撃にガジェットは地面にたたきつけられ、外郭である装甲がひしゃげる。 その一撃はガジェットの内部に損傷をきたしたらしい、ガジェットの機能は完全に沈黙した。 実験とも言えるオルフェウスでの物理的な攻撃の結果は予想通り。 シャドウ以外にも、この世界の機械にペルソナの攻撃が通用することがわかった。 それだけを確認すると、彼は自らの内で心の仮面を付け替える。 更なる標的のガジェットを見定めると、再びトリガーを引く。知らず、彼の口元には微笑すら浮かんでいた。 放たれたのは、兜を頂く隻眼の男。北欧神話の主神、 「オーディン!」 マントと雷をその身に纏う雷神、オーディン。その姿はまごうことなき王者たる威光を放っていた。 オーディンはその手に持つ槍「グングニル」を天に掲げた。 万雷を孕む黒雲が辺りに立ち込め、周囲に雷鳴を轟かせながら雷を降らし始める。 「マハジオダイン」。強大な雷は周囲に散らばっていたガジェット全てを貫き、撃ち洩らすこともなく破壊していった。 大規模な雷の嵐が静まり、黒雲が消えうせると、オーディンの姿もそれに伴うように露と消えた。 彼は周囲を見渡すと、呆然としているなのはを見上げた。 「終わり?」 「う、うん」 あっけなくガジェットを殲滅してみせた青年の能力は、なのはの想像以上だった。 青年は銃をクルクルと手で回転させてみせ、ホルスターに収める。 気障なパフォーマンスだが、青年はそれを自然体でやっているらしい。見惚れるほどさまになっていた。 正直彼には驚かされっぱなしで呆然自失のなのはだったが、その後、とりあえず彼を保護するとともに六課へ帰還、事の経緯をはやてに説明し、今に至る。 「で、あの「力」はなんや?魔法か?」 はやての言葉は、青年に向けられたものだった。 映像記録に残されていた彼の戦闘の映像は、すでに眼を通していた。 常ならざる能力であることは確かだが、その正体は不明のままだ。 見た感じでは、キャロの召喚術に似ていないこともない。 彼は少し思案し、やがて首を横に振った。そして、一言だけ単語を口にする。 「ペルソナ」 「え?」 「『ペルソナ』という能力。シャドウに対抗し得る、唯一の力」 「……詳しく聞かせてもらえる?」 フェイトが続きを促した。はやても頷く。彼は逡巡する様子を見せた。 自分の中で考えを纏めているような感じだ。 「これは、僕の主観ですが」 やがて彼は自分の心臓の位置に手を置き、そう前置きしてから話し始めた。 「……皆さんの使う魔法とは、全く別のものです。 潜在意識にある心の力を具現化したもの。言葉に表すならそんな感じです」 ……ペルソナについて一通りの説明を終えた彼は、もう話すことはない、とでも言うようにポケットに手を収めた。 「つまり…別の次元から何かを呼び出す召喚術とは、違う召喚術ってことかな?」 フェイトの問いかけに、彼は頷いた。 「ペルソナは内なる心の力。引き出すのに必要なのは技術じゃない。 魔法は技術、ペルソナは能力。そう解釈してもらえれば分かりやすい。 召喚器で頭を打ちぬき、仮想の中で内なる力を引き出す。 安定した召喚を行うにはこのプロセスを行う必要がある。でも、必ずしも必要な訳じゃない」 青年は頭のこめかみに手で作った銃を押し当て、引き金を引く真似をした。 「……それで、君はなんでそんなに事情に精通してるんや?」 はやての質問は、核心を突くものだった。彼は物思いに耽るように眼を瞑ると、やがて口を開いた。 「……僕は、この世界の人間じゃない」 三人は一様に驚く。薄々、この世界の人間ではないのでは、と思ってはいたが。 職業柄、次元漂流者というものにはまま、遭遇することがある。 しかしその殆どは自分の身に何が起こったのか理解していない。 しかし彼は自分が別世界にいることを明確に理解していた。 彼は、自分と自分の居た世界、そしてここに来ることになった経緯を説明する。 「――その後、僕は気づいたらこの世界にいた」 ユニバースの力の事や、デスを封印してからの経緯の事など、自分が向こうの世界では死んだ身であることは黙っていた。 自分でもうまく説明できる自信がなかったし、何故か彼は、目の前にいる人たちに自分は死んでいたのだということを知られたくなかったのだ。 「んー、なんやとてつもない話やなぁ……」 「それじゃあ、なんでこの世界に影時間があるのかは、分らないの?」 「……はい、僕もこちらに来たばかりで事情がよく……。次は、僕の質問に答えてもらえますか?」 この世界について、彼はまだ殆ど何も知らなかった。 目にした魔法にも興味があったし、この世界を知ることは不可欠だ。 その後も情報交換のようなやり取りは続くが、当然のように話はペルソナに帰結した。 この世界に影時間とシャドウがある限り、その脅威を退けられるのはこの力だけなのだ。 「基本的にペルソナは一人一体。僕のように、同時に複数のペルソナを所持することができる人も稀に存在します」 「私たちがペルソナを出すには、どうしたらええの?」 「……多分、召喚器で頭部を撃ちぬくことで、僕と同じようにペルソナを引き出すことができます。 でも、不安定なままの力を無理やり形にして引き出すようなものなので、下手をすれば暴走する」 自分にも経験があるのでわかる。 暴走を避けて安定して引き出したいならば、自然に覚醒するのを待つしかない、ということになる。 そんな悠長な、とはやては言うが、こればかりはどうしようもない。 「それで、これからのことだけど……」 そんな中、フェイトが言い難そうに話を切り出した。 「しばらくはここで身元預かりってことになると思う。 自由な行動ができなくなるから、申し訳ないんだけど……」 「いえ、是非お願いします」 身一つでこの世界に放り出された彼にとっては、衣食住もままならない状況が好転したといえる。 フェイトはすまなそうにしているが、制限がつくとはいえ、身元預かりとは願ってもない待遇だ。 「そういえば、自己紹介もまだだったね。私は高町なのは。」 確かに。なのはの言葉に漸く気づいた。苦笑を洩らしながら、彼は名乗った。 「僕は……藤堂、綾也です。」 なのはに送ってもらい、宛がわれた自室に入ると、綾也はベッドに倒れこんだ。 久しぶりに力を行使したからだろうか、眠気が酷い。 この世界で目覚めた時、気づいたら影時間の只中だった。 混乱するも、ここが別の世界だということを思い出し、とりあえずあてもなく歩きだす。 途中で見つけた人影と、今まさに襲いかからんとするシャドウ。咄嗟だった。 定位置である腰のホルスターに手を伸ばすと、召喚器を手に取りペルソナを召喚した。 今になって考えると不思議である。 なぜ自分はこの月光館学園の制服を着て、携帯音楽プレーヤーを身に着け、あまつさえ召喚器を持っていたのか。 思考は眠気にかき乱される。 気を抜けば失いそうな意識をなんとか繋ぎ留め、残ったなけなしの気力で起き上がった。 もぞもぞとブレザーを脱ぎ、タイを解いてそれらを床に放り出すと、綾也は再びベッドに倒れこみ、今度こそ意識を手放した。 違和感に目を覚ますと、そこは一面藍色だった。 ベルベットルーム。夢の中にいながら、これは夢だと自覚しているように、矛盾を感じる時がある。ベルベットルームにいるときは、そんな感覚に襲われる。 「また、お目にかかりましたな」 呼び出しておいてよく言う、と思うがそれは黙っていた。 「さて、今宵あなたを呼び出すのは二回目ですな。先ほど、と言ってよろしいものか、話の続きがございます」 「僕も聞きたいことがあった」 それはそうでございましょう、とイゴールは笑いながら頷いた。 「さて、何からお話致しましょうか……。そういえば、紹介がまだでしたな。」 イゴールが示したのは隣の麗人だった。 「初めまして。マーガレットでございます」 「……エリザベスさんじゃないんですか?」 イゴールに視線を送るが、老人はただ黙して笑みを深めるだけだった。 「妹は行方不明でございます」 「妹!?」 以外だった。エリザベス……彼女に姉妹がいたなんて。マーガレットと名乗った彼女に初めて会った気がしないのも、納得できる気がした。 しかし、行方不明とは。この世界の住人にも、そんなことが起こりえるのだろうか。……ありえそうだ、彼女なら。 「ずっと興味を惹かれておりました。妹を打ち倒す程の力を持った殿方……。一度、手合わせ願いたいものです」 「……ッ」 マーガレットは微笑んだ。綾也は肌が粟立った。一瞬だったが、自分に向けられたプレッシャーは凄まじかった。 無意識に、反射と無効を持たないペルソナにチェンジしてしまう程に。 間違いない、この人は強い。これまでに培ってきた経験が、警鐘を鳴らしていた。 「それほどにしておきなさい、マーガレット」 「これは私としたことが、つい」 冷汗が頬を伝う。内心、イゴールにこれほど感謝したのは初めてだった。 「それでは、本題に入りましょう。あなたはこの世界に誕生した際、ユニバースの力を失いました」 「!」 「いかにユニバースの力といえど、ここまでの奇跡は無理があったようですな。 大いなる奇跡の反動にか。それは定かではありませんが、今のあなたはユニバースを使えません」 なんとなく、気がついてはいた。自分の中にあった、あの「不可能な気がしない」感覚が抜け落ちていたのには。 だからと言って何か問題があるかと言われれば、答えはノー。今までが異常だったのだ、ただ元に戻っただけ。 「……僕はこれからどうすれば?」 「あるいは、意味や目的などないかもしれませんな。人生そのもののように曖昧で、あなたの行く末は私にもわかりえません。 深い漆黒の闇に覆われ、見通すことのできない前途。多難でございますな」 イゴールはフフ、と笑った。笑いごとではない。 「とりあえずは日々を気ままに過ごしてはいかがでしょうか。いずれ来るであろう試練に」 自分がここ来た事。そこに意味あるのだろうか。イゴールの言うとおり、意味などないのかもしれないが。 それでも、やるべきことはある。 「今は休まれるのがよろしいでしょう。そろそろ目覚めの時間ですな」 またもあの感覚だ。意識が浮上し、ベルベットルームを離れるのがわかる。 「それでは、ごきげんよう……」 綾也は夢とベルベットルームに別れを告げると、ひどい空腹とともに目を覚ました。 とにかく朝食を口にしようと部屋を出ようとして、どこで食べればいいのか分からない事に気づき、途方に暮れる。 ちらと視界の端に映った部屋の隅には、見覚えのある青い扉があった。 「こんなところに作らなくても……」 軽い眩暈を感じたのは、憔悴のせいか、空腹のためか。 とりあえず廊下を歩いて出会った人に聞こうと、部屋を後にぶらぶらと廊下を進む。何度目かの角を曲がろうとして、意外な人物に出くわした。 「君は……綾也君」 「確か、フェイトさん……?」 眠気も一瞬で醒めるほどの美女が、驚いた様子で綾也の名を呼んだ。 昨夜の自己紹介で教えられた名を確認するように言う。 「よかった、探していたんだけど……」 「あの。朝食って……どこで食べられますか……?」 フェイトの言葉を遮る綾也の言葉が以外だったのか、フェイトは瞬きを繰り返した。 「ごめんなさい、きちんと伝えておくべきだったよね……」 「いえ……」 綾也は外見通り、基本的には小食だが、食べる時は食べる。そして今は、食べる時だった。 彼は食堂のメニューを開き、彼のスタイルを考えると信じられない程の量を注文し、黙々と平らげ続けた。 フェイトはそれを余程お腹が空いていたのだろうと解釈したらしく、すまなそうにしている。 その光景は食堂の一角において、かなり異質な取り合わせだった。見慣れない青年と六課が誇る敏腕執務官が食事を共にする。 それだけでも周囲の視線は付きまといそうなものだが、六課の職員はほとんどが女性である。 その視線の中には、明らかに綾也へ向けられる好奇の視線が含まれていた。本人には自覚がなくとも、コーヒーを口に運ぶ彼の姿はカリスマ級だ。 しかし、当の二人はその視線には全く気付かず、妙な空間を形成し続けていた。 「よく食べるんだね」 「食べないと力が出ない」 漫画の食いしん坊キャラのようなセリフを吐きながらも、走り出した食は止まらない。あっという間に三人分はあろうかという量の朝食を取り終えると、食後のデザートへ入っていった。 「食事の最中悪いんだけど……」 フェイトの声のトーンが下がり、デザートを口元に運ぶ手は休めずに、綾也は目線をパフェから外した。 「この後、呼び出しがあるの。ここの部隊長から」 「部隊長?」 「昨日、私の横にいた人」 あの人か。独特のイントネーションで話す、女性。 「昨日の部屋……部隊長室に来てほしいって。私も同行する予定だから、探してたの」 「何の要件なんですか?」 「わからないけど、大事な話って言ってたよ」 やはり影時間やシャドウ、ペルソナに関することなのだろう。綾也はパフェを食べ終えると席を立った。 呼び出されている上、待たせているとなれば長居は無用だ。フェイトの案内され、部隊長室へ向かう。 そこで、ある意味綾也の予想は肯定された。 「僕が、六課に?」 「そや。うちらはまだシャドウに対抗する力を持ってない。君の力が必要なんや。 その力を貸してほしい」 予想の中でも、かなり望ましい位置にあった申し出だ。 自分はこの世界においてエキストラではなく、役職を得ることになるし、生活にも困らない。 「僕の力でよければ、いくらでも」 「ありがとう、そう言ってくれると思っとったよ」 綾也の言葉を聞くと、はやては笑って言った。 「よろしくな、綾也くん」 差し出された右手を、綾也は握り返した。 「こちらこそ、お世話になります」 六課への入隊。それは暗闇に包まれたこの世界での一筋の光明のように感じた。 これからの旅路、行く手に何が待ち受けるのか。分からなくても、それでも何とかなる気がしていた。 ユニバースの力がなくても、自分には残っている。ペルソナと、絆が。色褪せることのない確かな輝きを放つそれが、行く手を照らしてくれように感じて。 元の世界に未練がないわけじゃない。還ることができたらどんなにいいだろう。 しかしここにも僕の居場所ができた。無責任に捨てることはできない。 今は尽力しよう。この世界の闇を晴らすことに。それが、僕のすべきことだと感じていた。 そして、夜が来る――。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1734.html
スパロボW2週目55話からの分岐です。 なのでスパロボWのネタバレ注意 時間軸はJS事件後。で、六課運営期間延長済 種組はもとの世界に放置(種入るとスレチ扱いされそうですし) 一応メインはミヒロだけど、プロローグでは出てきません。 中二病臭がぷんぷんします。 ロボゲ板の某スレを知ったのが落ちた後なので見てませんので、似てたとしても関知しません。 というわけで、NGキーワードは「SRW外伝魔法少女リリカルミヒロ」でお願いします。 ザ・データベース…… 宇宙の死と新生を彷徨い知識と言う名の思ひ出を記憶する存在。 それは、時を経て変質し記憶した対象を破壊する存在になった。 そしてその変質の果てにひとつの終止符が打たれる。 感情が生まれ評論者の手ごまにされた推論者になった記録者は、 己が傀儡で動かされたことに気づき密かに妥当する力を作る。 それすら見通されているのにも気づかずに…… そして、知の記録の過程で起こった争いは冥王星で終結する。 「これが俺の、魂の一撃だぁぁぁぁ!」 ヴァルザカードのエクサノバシュート・オーバーが炸裂し 評論者の駆るサピエンティアは倒れた。 だが、悪は簡単には滅びない。サピエンティアを自爆させ次元の渦にすべてを飲み込もうとしたのだ。 ヴァルザカードは"知の記録者"のマスターシステムであるスキエンティアの心臓を抜き取り脱出しようとするが、次元渦の強大な引力よって大質量をもつヴァルザカードは引きずられていこうとする。 と言っても仲間を見捨てるはずがない。灯台守達は己が機体・肉体で繋ぎ止めようとする。 灯台守『ノイ・ヴェルター』の絆は強固であり、例え強度的に弱い部分があってもラムダドライバの意思の力で補強され、"最強の鎖"となってヴァルザカードを繋ぎとめた。 しかし……次元渦はその絆ごと飲み込もうとしたのだ。 ヴァルザカードと灯台守達は次元渦に飲み込まれる そして次元渦が消えたあとの宇宙には所謂"アークエンジェル組"(つまりラクシズ)だけであった… 55話外伝「魔法世界との接触」 ~次元の海~ そこには、ナデシコとヴォルストークがディストーションフィールドで身を守りながら漂っていた。 外に出てたパイロット達は既に収容されたが、この次元嵐によって航行システムおよび推進器が壊れ、ナデシコのホゾンジャンプもサピエンティアの爆発による次元嵐によってホゾンジャンプ関連のシステムが破壊されたため使用することができないでいた。 そのとき、ナデシコ・ヴァルザカードのカメラに白い船影が現れた。 「おや、どうやらあの戦艦から通信のようですね。」 と、影の薄そうな男ホリスが艦長に話し掛けた。 「つないでくださいな。」 ヴォルストーク(ヴァルザカードは既に合体を解除している。)の艦長シホミ・アーディガンはそう指示する 。 ちなみに、ヴァルアルム・アルムストラは始原文明エスの超技術で質量保存則を無視して小さくなってヴォルストークに着艦してます。(つまり、ス○ー○ラ○トで小さくなったと思ってください) 「こちら、時空管理局本局古代遺失物管理部機動六課所属L級改装艦船アースラ改艦長の八神はやてです。事件捜査中に次元振を観測し、急行したところ貴艦らを発見しました。こちらの指示にそって行動してくれれば貴方方を助けることができます。」 ~ヴォルストークブリッジ~ 「彼らの保護を受けるべきでしょうか」 と一緒にいるナデシコCの艦長のホシノ・ルリに相談する。 「とりあえず、この状況を打開すべきかと。ホゾンジャンプが使用できない現状ではもとの世界にもどる方法がありませんし。」 通信画面からはそのような現実的な答えが返ってくる。 そしてこんどはアースラへ通信を繋いだ。 「こちらは新・国際連合事務局直属部隊ノイ・ヴェルター所属ヴァルストーク艦長 シホミ・アーディガンです。貴艦の申し出に応じようと思います。」 その一言によりナデシコとヴォルストークはアースラの発するトラクタービームに引かれて、次元嵐のある一帯から抜け出していった。 「ねーちゃんたら親父と同じようなこと言っていやがる。俺にはグッサリやってきたってのによぉ」 「しかたないよ、こういうのは相手にあわせたほうがいいってお父さんも言ってたじゃない」 とぼやくのは着艦済みのヴォルホークに待機中のミヒロ・アーディガンとカズマ・アーディガン兄妹である。 「では、一時的に私達の保護下に入ってもらいます。それと、貴艦の様子を見る限り戦闘があったようですがこの時点を持って一切の戦闘行為をしないでください。あと……」 とはやては一度くぎってから 「私達の世界では質量兵器規制というものがあり、わたしたちの保護下に入るにあたって艦載機の封印処理を後ほど行いたいのですが、よろしいでしょうか?」 「わかりました。」 と短く声を発し通信は終了した。 それが、アーディガンファミリーの……いやミヒロ・アーディガンと魔法との出会いだった。 スーパーロボット大戦W外伝~魔法少女リリカルミヒロ~ たぶん、始まります。 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/hayamiken32/pages/299.html
魔法機甲戦記リリカルなのは あらすじ 平凡な小学三年生だった女の子、高町なのは。だが、ある日出会った不思議なフェレット・ユーノと、彼が持っていた魔法のデバイス・レイジングハートとの出会いで、魔法少女として、光の人、エルドランから「エクセリバー」の運命に巻き込まれてしまう。危険な古代遺産「ジュエルシード」を巡って争うことになる異世界の少女、フェイト・テスタロッサとそのロボット「ケルヴァルディオン」との出会いや次元世界を管理する時空管理局の介入から事態は激しさを増し、戦いの日々へとなのはは向かい合ってゆく。悲しい運命を背負ったフェイトにひかれ、 同じ寂しさを分かち合いたいと願ったなのは。「友達に、なりたいんだ」 思いを届けるため、なのはは自らが得た魔法を手に、フェイトと、運命との戦いを選んだ―――。 クロス元:リリカルなのはシリーズ×エルドランシリーズ メカニクス なのは関係(メカ) フェイト関係(メカ) 時空管理局(メカ) テスタロッサ関係(メカ) キャラクター なのは関係 フェイト関係 時空管理局 テスサロッサ関係